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西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行について(その6)

2014/08/21 No.682
  • 外航
当組合コレスポンデンツEltvedt & O’Sullivanより西アフリカ諸国の状況についての情報を受領しましたので当組合による試訳とともにご参考に供します。

試 訳

エボラウィルスに関する西アフリカ諸国の状況は刻々と変化しており、蔓延を食い止めるための新たな対策が各国政府/当局により実施されています。

エボラ出血熱の流行は今のところSierra Leone、Guinea、Monrovia(註:Liberiaの首都)に集中していますが(Nigeriaでも3件の死亡が報告)、その他の西アフリカ諸国はエボラウィルスの侵入を防ぐべく独自の方策を実施しています。

エボラウィルスは、発症者の血液/体液との直接接触、もしくはウィルスが付着した器具(針等)に触れることによって感染します。空気、水、食物を介した感染はありません。

TCI Africaの西アフリカ事務所のネットワークを通じて収集した最新情報を以下の通りご案内致します。

MAURITANIA
現在のところ、Mauritania当局からのエボラウィルスの感染報告はありません。

Mauritaniaはエボラウィルス感染が報告されている国々と国境を接していませんが、感染の可能性がある地域から入国する者をチェックするよう一般的な注意喚起が全入国地点(国境、空港、港湾)になされています。

  • 港湾への船舶の入港制限はありません。
  • 入港前の検疫等は実施されていません。
  • 港湾のオペレーションの制限/変更はありません。
  • 船員の上陸/交代における制限はありません。

しかしながら、最近マラリアに感染した船員が治療/送還のための上陸をNouadhibouの現地当局により拒否されるという「非公式」な制限が課される事態がありました。医師は錨泊地点で乗船し診察しましたが、現地当局はフォローアップ治療のため医師が再度乗船することを禁止しました。

SENEGAL
セネガル当局によると、現在のところ同国での感染は報告されていません。しかしながら、予防措置として、Guinea(Conakry)との国境は閉鎖され、セネガル当局は感染リスクのある国からの乗客の徹底したヘルスコントロールを入国前に実施することを決定しています。

感染国に寄港した船舶のセネガル水域への入域は禁止されていません。但し、着桟前に厳格なヘルスコントロールのために外港で検疫を受ける必要があります。


GAMBIA
感染国からの船舶の入港を禁止しています。

GUINEA BISSAU
感染国からの船舶の入港を禁止しています。

GUINEA
2014年8月13日に大統領により非常事態宣言がなされました。但し、現在のところ船舶の入港には影響ありません。他の感染国からの船舶であっても、Guinea諸港に寄港する船舶に対する手続変更や制限は報告されていません。

LIBERIA
現在までの政府の対応はあまり効果をあげられておらず、国民はウィルス拡散を食い止めるべく奮闘しており、医療制度は危機に瀕しています。政府は学校を閉鎖し、政府職員に30日間の自宅待機を命じています。8月6日に大統領は政府に人命保護のための特別の権限を付与する非常事態宣言を出しました。報道によると、同国内の感染地域から首都Monroviaへの国民の移動を制限すべく軍隊による道路閉鎖が行われています。

海事関係については、現在のところLiberia諸港に寄港する船舶に対する制限や検疫等はありません。通常の入港手続きが行われています。荷役は通常通り行われており、Monrovia港では港湾労働者は事前チェックを受けています。

IVORY COAST
Ivory Coastへの渡航制限はなされていません。また、状況をモニタリングしている保険局は感染者への対応について何ら言及していません。エボラウィルスに関する人々の認識が高まっており、例えば野生動物の肉を食べることは現在Ivory Coastでは禁止されています。現在のところエボラウィルスへの感染は報告されていません。また、挨拶の際の握手や抱擁を控えることが推奨されています。

2014年8月12日にAbidjan港湾当局は、同港入港の21日前以内にエボラウィルス感染国に寄港した船舶の入港に対する制限を課しましたが、8月14日に当該制限は解除されました。

Abidjan港湾当局から最新の正式な通達は以下の通りです。

「本通達は、エボラ出血熱流行国から(Abidjan港に)入港する船舶に関する以前の決定が解除されることを船主、船舶代理店、保険者(P&Iクラブコレスポンデンツ)に案内するものである。

上記より、あらゆる船舶は通常の手続きに従ってAbidjan港に入港することが出来る。

なお、エボラ出血熱流行国からの船舶の入港のための衛生措置を後日案内する。」
通常の健康申告及び手続に従う必要があります。当局は船舶の到着の際に船舶への乗船を許可する前に厳格なチェックをする模様です。

なお、上記措置はSan Pedroにも適用されます。

GHANA
当局はウィルス蔓延を防ぐべく注意を払い最善を尽くしています。現在のところ同国での感染は報告されていませんが、保険局は状況をモニタリングしています。

現在のところ、Tema/Takoradi港入港の際に感染国から来た船舶に対する入港禁止のような措置は取られていませんが、ヘルスコントロールが強化されています。

2014年8月6日付港湾保険通達の抜粋は以下の通りです。

「Temaへの船舶寄港に対する危機管理策として、特にLiberia、Sierra-Leone、Guinea、Nigeriaのエボラ流行国から来る船舶は遅くとも到着3日前までに保険局に事前到着書類を提出しなければならない。

書類は以下の者を含む。
1) Maritime Declaration of Health
2) Ports of Call List
3) Crew List
4) ETA of Vessel

上記措置は保健当局が適切な対応準備ができるようにするためのものである。」

Health Officeによると、特に感染国から来る船舶に対しては、係官が錨泊地で乗船し確認するとのことです。疑わしい場合には、船舶は21日間隔離されます。

TOGO
同国保険省は先週火曜日(註:8月12日)同国での感染ケースはないことを発表しました。

同国保険省事務次官はLomeでの首相との会談の後、ウィルスに対する対策措置を評価し、
「現在のところTogoでのエボラ出血熱感染ケースはない」と発表しています。

保険省によると同国は3月以降エボラ出血熱に対する予防措置を取っているとのことです。

特に空港、港湾、国境といった入国地点は保険局によりモニターされています。

Lomeにおけるオペレーションは通常通り変更ありません。

BENIN
ラジオやテレビを通じて食事前の手洗いや野生動物の肉を食べないよう呼びかける等の予防措置の情報提供以外に、政府による特段の措置は取られていません。

国境、空港、港湾における制限は課されていませんが、当該エリアは保険局の管理下に置かれています。着桟し第三者の乗船が認められる前に、船員は保険局の検査を受けます。Cotonouにおけるオペレーションは通常通り変更ありません。TCI CotonouがHarbour Master及びPilotと本件を協議したところ、Pilotは着桟の際に船員と接触する最初の者になるにもかかわらず直接接触を避けるための適切な防護服や手袋を有していないとの不満が述べられたとのことです。

NIGERIA
現在3名の死亡、7名の感染、約200名の疑いが報告されており、エボラは同国で大きな話題となっています。感染が報告されたのはLagos及びEnuguで、EnuguのケースはLagosでの発症者の治療に当った看護師の感染です。

現在、Liberia、Sierra Leone発着の航空便及びAir Gambiaに渡航制限が出されています。

政府はウィルス蔓延防止のため全力を尽くしています。

現在、同国諸港への船舶入港に関する制限は課されていません(少なくとも公式なアナウンスはありません)。

非公式にはGuinea、Sierra Leone、Liberiaから来た船舶のNigeria入港を認めないとされていますが、この点について公式のアナウンスはありません。

実際、Lagos港湾当局は2014年8月14日時点で港湾はエボラウィルスの影響はなく通常通り運営されている旨のNotice to Marinersを発行しています。

但し、エボラウィルス流行地域から来た船舶は、港湾衛生局による対応検討のため運航遅延が生じる可能性があります。また、より厳しい調査や検疫のための抑留の可能性もあります(入港手続きや荷役開始前に船員がエボラウィルス感染の兆候がないかチェックされる可能性があります)。

CAMEROON
エボラ出血熱が流行して以来、同国では大きな騒動になっています。情報を提供し公衆の意識を向上させるため多数の集会が開かれています。医療関係者は現在のエボラ出血熱流行に対処すべく教育を受けています。先週末にDoualaの病院で中国人が死亡したことで人々の間で恐怖が高まっていますが、衛生当局は現在のところ同国でのエボラ出血熱感染は確認されていないと発表しました。

Douala港に関し、エボラウィルスの教育を受けたスタッフが配置され医療チームの強化がなされましたが、制限等は課されていません。通常の乗船前の医療検査がなされています。Douala寄港前の寄港リスト、船員リスト、健康状態の申告に重点が置かれています。

また、港湾地域における警察のコントロールが強化されており、特に密航者や船員交代の取り扱いが厳しくなっています。この点について港湾当局との会合が今週予定されています。

一方、空路に関しては、Cote d’IvoireとNigeriaのフライトは一部制限され、赤道ギニアとの国境は閉鎖されています。

CONGO
エボラウィルスに関する当局からの公式な通達はありません。しかしながら、港湾当局は西アフリカ諸港から来る船舶に関し、エボラウィルスに似た症状を示す船員のPointe-Noireでの下船を認めません。

GABON
同国での感染は報告されていませんが、保険省は8月14日に同国でのウィルス蔓延リスクを最小限に抑えるため同国諸港に寄港する船舶に対して以下の防止措置を取ることを発表しました。

  • Gabon諸港に寄港する船舶は、寄港3日前までにHarbour Masterに寄港予定日前30日間の寄港履歴を提出しなければならない。
  • エボラ出血熱流行地域から来るGabon人が乗船してない船舶の着桟を禁止する。
  • 船舶及び船員と接触する者は手袋を着用しなければならない。手袋を着用しない者の乗船を禁止する。
  • Pilot乗船時にHealth Inspectorsが乗船する。
  • Health Inspectorが下船するまで船舶へのアクセスを禁止する。
  • 更なる通達があるまで船員の港湾以外への外出を禁止する。
  • 更なる通達があるまで船員交代を禁止する。

衛生は全員に関係するものであり、Gabon諸港で働く管理者/オペレーターは責任を持って上記通達を実施すること。

KENYA
特別の措置は実施されていない。但し、WHOは同国をリスクの高い国としている。