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条約案内

バンカー条約

「2001年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」(バンカー条約)は、2008年11月21日に発効しました。
本条約の締約国については『海事条約締約国一覧表』をご参照ください。

締約国を旗国とするか締約国領域内の港湾施設を使用する1,000国際総トン以上の船舶は、本条約に基づき生じる責任をカバーする保険の付保またはその他の金銭上の保証(保証)を保持することが必要です。
また、日本の内航船は、本条約を摂取し国内法化した2019年の改正油賠法によって、保証を保持することが義務付けられています。

保証の要求を含むバンカー条約の概要は以下のとおりです。

  1. 船主責任
    • 船舶所有者(所有者、裸用船者、管理人、運航者)は、海洋汚染を防止するため船舶から流出した燃料油による汚染損害について責任を負います。
    • 船主に厳格責任(無過失であっても責任を負う)を課しており、免責されるのは他の類似の海事条約(CLC条約、ナイロビ条約など)と同じく、以下の3つの場合に限られます。
      1. 戦争、敵対行為、内乱、暴動または例外的、不可避的かつ不可抗力的な性質を有する自然現象によって生じた場合。
      2. もっぱら損害をもたらすことを意図した第三者の作為または不作為によって生じた場合。
      3. もっぱら灯台その他の航行援助施設の維持について責任を有する政府その他の当局のその維持についての過失その他不法行為によって生じた場合。
    • 船舶所有者は、国内法で適用される船主責任制限法または1976年海事債権責任制限条約(1996LLMCを含む)に基づき、その責任を制限することができます。
  2. 適用範囲
    • 本条約は、締約国の排他的経済水域および領海に適用されます。
  3. 強制保険
    • 締約国を旗国とする船舶、締約国の領域内の港に入港もしくはそこから出港する船舶、または締約国の領海内の沖合の施設に到着しもしくはそこから出発する船舶の登録所有者は、適用される責任制限額あるいは1976年海事債権責任制限条約(1996LLMCを含む)のいずれか高い額までをカバーする保険等に加入し、締約国が発行する証明書(条約証書)を本船に備え置く必要があります。
    • 汚染損害の被害者は、登録船主が加入している保険者等に対して直接、損害賠償請求することができます。
  4. 当組合の対応
    • 条約証書は、条約の要求を満たす保険等が保持されていることが確認されれば、旗国または締約国が発行します。旗国または締約国が条約証書を発行するに際して、保険者等が発行する保証の証明書(ブルーカード)が必要になります。当組合を含む国際P&Iグループ(IG)では、他の海事条約と同じくブルーカードを発行しています。ブルーカードの発行については当組合までご相談ください。

難破物除去条約(ナイロビ条約)

「2007年難破物の除去に関するナイロビ国際条約」(難破物除去ナイロビ条約)は、2015年4月14日に発効しました。
本条約の締約国については『海事条約締約国一覧表』をご参照ください。

締約国を旗国とするか締約国領域内の港湾施設を使用する300国際総トン以上の船舶は、本条約に基づき生じる責任をカバーする保険の付保またはその他の金銭上の保証(保証)を保持することが必要です。
また、日本の内航船は、本条約を摂取し国内法化した2019年の改正油賠法によって保証を保持することが義務付けられています。

保証の要求を含む本条約の概要は以下のとおりです。

  1. 船主責任
    • 登録所有者は、航行上の危険となる、または海洋環境に対する重大な損害や沿岸域もしくは関係する利益に損害を与えることが合理的に予見される障害となる難破物の位置特定、マーキング、そして除去の費用について責任を負います。
    • 難破物が条約に規定する危険となるかどうかの決定は、条約に規定される15の基準によって判定されます。条約は難破物が除去を要する危険となるかどうかの決定に関して検討すべき基準を設けており、締約国が取る措置は危険に比例したものでなければならないとされています。
    • 登録所有者に厳格責任(無過失であっても責任を負う)を課しており、免責されるのは他の類似の海事条約(CLC条約、バンカー条約など)と同じく、以下の3つの場合に限られます。
      1. 戦争、敵対行為、内乱、暴動または例外的、不可避的かつ不可抗力的な性質を有する自然現象によって生じた場合。
      2. もっぱら損害をもたらすことを意図した第三者の作為または不作為によって生じた場合。
      3. もっぱら灯台その他の航行援助施設の維持について責任を有する政府その他の当局のその維持についての過失その他不法行為によって生じた場合。
    • 登録所有者は、国内法で適用される船主責任制限法または1976年海事債権責任制限条約(1996LLMCを含む)に基づき、その責任を制限することができます。
  2. 適用範囲
    • 本条約は締約国の排他的経済水域にのみ適用されます。ただし、締約国は自国の領域(領海含む)にも適用することができます。
  3. 強制保険
    • 締約国を旗国とする船舶、締約国の領域内の港に入港もしくはそこから出港する船舶、または締約国の領海内の沖合の施設に到着しもしくはそこから出発する船舶の登録所有者は、適用される責任制限額あるいは1976年海事債権責任制限条約(1996LLMCを含む)のいずれか高い額までをカバーする保険等に加入し、締約国が発行する証明書(条約証書)を本船に備え置く必要があります。
    • 損害の被害者は、登録所有者が加入している保険者等に対して直接、損害賠償請求することができます。
  4. 当組合の対応
    • 条約証書は、条約の要求を満たす保険等が保持されていることが確認されれば、旗国または締約国が発行します。旗国または締約国が条約証書を発行するに際して、保険者等が発行する保証の証明書(ブルーカード)が必要になります。当組合を含む国際P&Iグループ(IG)では、他の海事条約と同じくブルーカードを発行しています。ブルーカードの発行については当組合までご相談ください。

2002年アテネ条約/PLR

2013年4月23日にベルギーが批准したことで発効要件が満たされ、「1974年の船客とその手荷物の海上運送に関するアテネ条約の2002年議定書(2002年アテネ条約)」は2014年4月23日に発効しました。

2002年アテネ条約は以下の国際運送に適用されます。

  • 船舶の旗国が締約国の場合
  • 運送契約締結地が締約国の場合
  • 運送契約上の発着地が締約国内の場合

2002年アテネ条約は、乗客の死傷や手荷物等に対する運送人の責任を大幅に引き上げています。上述の国際運送を行う客船は条約の要求を満たす保険を付保し、締約国から発行されている当該保険が有効であることを証する証書を保持する必要があります。

2002年アテネ条約で要求される保険については、基本的に現行のP&Iカバーで対応されており別途追加保険の手配は必要ありません。ただし、条約証書の申請に必要なブルーカードについて、クラブにより発行されるブルーカードは「EU旅客輸送賠償に関する規則第329号/2009年(PLR)」の対応と同様に戦争およびテロリスクを除いたものとなり、戦争およびテロリスクから生じる乗客の死傷に対する運送人の責任を保証する保険者またはその他の金銭的保証提供者から戦争リスクをカバーするブルーカードを取得する必要があります。当該ブルーカードの取得については当組合にご相談ください。

PLRについて

EUは2002年アテネ条約を先取りしたPLRを制定し、PLRは2012年12月31日に発効しました。PLRは、乗客の死亡と負傷ならびに手荷物と乗物の損失に対する責任、補償、強制保険システムを規定しており、PLRの対象となる船舶は、PLRの要求を満たす保険を付保し、EU各国より発行される当該保険が有効であることを証する証書を保持する必要があります。

IG加盟クラブでは、船主がPLRの証書発行をEU各国へ申請するのに必要なブルーカードを発行しています。ただし、クラブにより発行されるブルーカードは戦争およびテロリスクを除いたものとなります。従いまして、船主は戦争およびテロリスクから生じる乗客の死傷に対する船主責任を有効に保証する保険者またはその他の金銭的保証提供者から戦争リスクをカバーするブルーカードを取得する必要があります。戦争リスクをカバーするブルーカードの取得については当組合にご相談ください。

2006 MLC

改正2006年の海上の労働に関する条約(MLC)の発効について

改正MLCが2017年1月18日に発効しました。同日以降、改正MLC対象船(締約国籍船で500総トン以上の国際航海に従事する全ての商船)は、以下に関する責任について保険者または他の金銭上の保証の提供者が発行した保険または他の金銭上の保証が手配されていることを示す証書の本船内保持が要求されます。

  • 改正MLC第2.5規則、第A2.5.2基準および第B2.5指針に従って、船員の未払賃金、送還費用および付帯費用
  • 改正MLC第4.2規則、第A4.2基準および第B4.2指針に従って、船員の死亡または長期の後遺障害に対する補償

IG加盟クラブでは、上述に関する証書を発行します。

改正MLCの金銭上の保証要求に関する詳細については、以下のFAQsをご参照ください。

  • 改正MLCの金銭上の保証要求に関するFAQs

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2006年の海上の労働に関する条約(MLC)の発効について

「2006年の海上の労働に関する条約(MLC)」は、フィリピンの批准により発効要件が満たされ、2013年8月20日に発効しました。MLCの概要および条文については、国際労働機関(ILO)駐日事務所のウェブサイトでご覧いただけます。

MLCの下、締約国は自国籍船の船員に対して、とりわけ以下の権利を確保することが求められます。

  1. 船主の破産(事実上の遺棄)の場合を含む送還
  2. 船舶の滅失または沈没により生じる失業に対し、失業中の間の日数に応じ2か月分を上限とした船員への補償
  3. 国内法、船員の雇用契約、団体交渉協約に規定する職業上の負傷、疾病、障害による死亡または後遺障害の補償

以上の内、(a)の船主破産の場合の送還費用はこれまでてん補対象ではありませんでしたが、組合員が別途これをカバーするための保険手配をすることなくMLCが求める要求に対応できるよう、当組合ではこれをてん補対象とすることとし、MLC発効前に保険契約規定を改定しました。

96LLMC

2012年4月19日に開催された国際海事機関(IMO)の法律委員会(Legal Committee)にて、「1976年の海事債権についての責任の制限に関する条約を改定する1996年の議定書(96LLMC)」の責任限度額の引上げが採択され、責任限度額の引上げ改正は、2015年6月8日に発効しました。改正後の責任限度額については2012年5月21日付特別回報第12-004号をご参照ください。

とりわけ保険金額に定めのある保険(内航船保険)のご契約をいただいている組合員におかれましては、責任限度額の引上げを考慮して、十分に余裕のある保険金額となっているかご確認ください。

新旧責任限度額の比較図は以下のとおりです。