EUの対ロシア制裁
EUは2022年2月25日にウクライナ情勢の悪化をふまえ、ロシアに対する制裁を大幅に拡大することを発表しました。規則2022/328は広範な措置を定めています。これらの新しい制裁措置の影響を受ける可能性のある組合員の皆さまにおかれましては、同規則の全文を確認することをお勧めいたします。
組合員の皆さまとP&Iクラブに対し特に潜在的に影響があると思われる措置は、下記のとおり要約されます。
- 二重用途の物品および技術(すなわち、潜在的に民生・軍事用途の双方を持つものであり、EU規則2021/821の附属書Iにリストに記載されている)の販売、供給、譲渡または輸出の禁止。ただし、非軍事エンドユーザーが関与する2022年2月26日以前に締結された契約の履行などについては、2022年5月1日以前に認可を求めた場合、EU所轄官庁の認可のもとで一定の限定的な免除が認められます。
- 同規則の附属書VIIに記載されているロシアの軍事・技術強化、または防衛・安全保障分野の発展に寄与する可能性のある物品および技術の販売、供給、譲渡または輸出の禁止(特にカテゴリー8で扱われている海洋関連物品に注意が必要)。ただし、上記と同じく限定的な適用除外と認可手続があります。
- 同規則の附属書Xに記載された石油精製に使用される物品および技術の販売、供給、譲渡または輸出の禁止。ただし、2022年2月26日以前に締結された契約の履行については、2022年5月27日まで適用を免除する。
- 同規則の附属書Xに記載された航空・宇宙産業での使用に適した物品および技術の販売、供給、譲渡または輸出の禁止。ただし、2022年2月26日以前に締結された契約の履行については、2022年3月28日まで適用を免除する。
- 2022年4月12日以降の譲渡可能証券および金融市場商品に関する投資サービスの提供、および2022年2月26日以降の新規融資または信用の提供に関する、さまざまなロシアの金融機関、特に以下の海運事業体への投資サービスの提供の禁止。
・Novorossiysk Commercial Sea Port
・Sovcomflot
・United Shipbuilding Corporation
ただし、当該措置はこれらの関係者との上記以外の契約を妨げるものではなく、例えば、Novorossiysk Commercial Portが運営する港やターミナルへの船舶の寄港や、港湾使用料の支払いを妨げるものではありません。
- ロシア連邦、ロシアに居住する者、またはロシアで設立された法人からの10万ユーロを超える預金の受け入れの禁止。ただし、一定の例外が認められています。
上記の規定の多くには、列挙された活動に対する、保険および再保険の提供禁止も含まれていることにご留意ください。組合員が当該規則の影響を直接受けない場合(例えばEU圏外に所在するため)であっても、P&Iクラブがこれらの活動に従事する組合員へのカバーを提供できない可能性があります。組合員の皆さまにおかれましては、これらの取引を行う前に、適宜当組合に連絡ください。
EU制裁は以下の状況下で適用されます。
EUの領域内(領空を含む)、EU加盟国の管轄下にある航空機または船舶内、所在地を問わずEU加盟国の国民、所在地を問わずEU加盟国の法律に基づいて設立された法人・団体・組織、EU内で全体または一部が行われる事業に関与する法人・団体・組織。