EUの対ロシア追加制裁
2022年3月15日にEUは、ロシアのウクライナに対する軍事的侵略に対する第4次制裁措置を採択しました。
EUは、ロシアの新興財閥を含む15名の個人と、ロシアの航空、軍事、造船、機械製造部門で活動する9つの事業体をEU制裁リスト(EU規則2022/427を参照)に指定しています。
指定団体には、以下の事業体が含まれています。
- Rosneft Aero
- JSC Rosoboronexport
- JSC NPO High Precision Systems
- JSC Kurganmashzavod
- JSC Russian Helicopters
- PJSC United Aircraft Corporation
- JSC Research and Production Corporation Uralvagonzavod
- JSC Zelenodolsk Shipyard (A. M. Gorky Zelenodolsk Plant)
組合員は、個人が制裁対象リストに含まれている場合には、取引を行っている関連会社への影響を確認するために、会社の所有者および管理者を調査すべきことに留意しなければなりません。2021年6月8日の欧州委員会の見解は、考慮すべき要素およびアプローチを特定するうえで有用です。
他の措置(EU理事会規則No.833/2014を改正するEU規則2022/428)には、次のものが含まれます。
- ロシア国内の個人もしくは団体またはロシア国内での使用のための、附属書IIに掲げる設備または技術(EUを原産地とするか否かを問わない。)の販売、供給、移転または輸出の禁止。附属書IIには、特定のカテゴリーの探鉱・生産プロジェクトに適した特定の物品および技術を含む。また、これらの活動に関して、技術援助または資金援助(保険または再保険を含むと定義される)を提供することも禁止されている。ただし、この禁止は、化石燃料、特に石炭、石油、天然ガスをロシアからEUへ、またはロシアを経由してEUに輸送する場合には適用されない。2022年3月16日以前に締結された契約の履行については、2022年9月17日まで適用されない。ただし、EU加盟国の監督当局に5営業日前に通知されていることを条件とする。
- ロシアの法律またはその他の第三国に基づいて設立された事業体との新たな合弁事業の創設を含む、ロシアのエネルギー部門への新規投資の禁止。
- 附属書XVIIに掲げる鉄鋼製品の輸入または輸送の禁止。ただし、それらがロシア原産のものであるか、またはロシアから輸出されたものである場合に限る。これには、保険または再保険の提供の禁止が含まれる。しかしながら、2022年3月16日以前に締結された契約の履行については、2022年6月17日まで適用されない。
- 附属書XIXに列挙されている特定の国有ロシア企業との取引の禁止。2022年3月16日以前に締結された契約の履行については、2022年5月15日まで適用されない。また、この禁止は、次のものには適用されない。
- ロシアからEUへの、またはロシアを経由してEUへの、化石燃料、特に石炭、石油および天然ガスならびにチタン、アルミニウム、銅、ニッケル、パラジウムおよび鉄鉱石の購入、輸入または輸送のために厳格に必要とされる取引。
- 附属書XIXに列挙されている企業が少数株主であるロシア国外のエネルギー・プロジェクトに関連する取引。
- 信用格付サービスの提供またはロシアの顧客に対する信用格付に関連する加入サービスへのアクセスの提供については、2022年4月15日から禁止される。
- EUからロシアへの附属書XVIIIに列挙されている高級品の直接または間接的な販売、供給、移転または輸出の禁止。
上記の規定の中には、列挙された活動に対する保険および再保険の提供の禁止も含まれていることにご留意ください。組合員が当該規則の影響を直接受けない場合(例えばEU圏外に所在するため)であっても、P&Iクラブがこれらの活動に従事する組合員へのカバーを提供できない可能性があります。組合員の皆さまにおかれましては、これらの取引を行う前に、適宜当組合に連絡ください。
EU制裁は以下の状況下で適用されます。
領空を含むEUの領域内、EU加盟国の管轄下にある航空機内や船舶内、所在地を問わず加盟国の国民、所在地を問わず加盟国の法律に基づいて設立された法人・団体・組織、EU内で全体または一部が行われる事業に関与する法人・団体・組織。