中国-夏季禁漁制の最新情報(2021)
禁漁期間終了に伴う中国海域での航行警報について、2020年9月1日付Japan P&I News No.1090にてご案内しましたが、今回、中国のコレスポンデンツHuatai Insurance Agency and Consultant Service Ltd.(Huatai)から中国農務省(Ministry of Agriculture and Rural Areas of PRC)通達2021年第1号(コレスポンデンツによる仮訳 英語版)を受領しましたので、ご参考に供します。
禁漁期間が終了し漁期が開始される8月から10月にかけて、商船と漁船の衝突事故が頻発しています。当該海域を航行する船舶は、通達をご参照のうえ、漁船に対して細心の注意を払い、衝突事故回避の対策を実施されることをお勧めいたします。
本船のご安航をお祈りいたします。
記
試 訳
中国農務省通達(2021)第1号
年次夏季禁漁制の調整について
中国農務省(Ministry of Agriculture and Rural Areas of PRC)通達2021年第1号により2021年5月1日から中国沿岸海域において3~4か月禁漁期間となります。
これまでの経験から、禁漁期間の開始時と終了時は、漁船の輻輳度が高くなります。禁漁期間の開始時と終了時に不測の事故に巻き込まれないよう、船舶は適切な見張りを維持し、VTS(Vessel Traffic Service)センターおよびパイロットステーションと連絡を密に取ることを奨励します
一方、沿岸地域の漁業当局は、現地の実情に応じ漁業禁止に関するより厳しい措置を講ずる可能性があるため、必要に応じて現地代理店に詳細を確認することを推奨します。
調整に関する内容は以下のとおりです。
- 対象海域
渤海(Bohai Sea)、黄海(Yellow Sea)、東シナ海(East China Sea)、北部湾(Beibu Gulf)を含む北緯12度以北の南シナ海(South China Sea)
- 適用漁法
釣り漁以外の全漁法で、漁船をサポートする補助用漁船を含む。
- 各海域における禁漁期間
- 渤海および黄海、北緯35度以北
期間:5月1日12時から9月1日12時まで
- 黄海、東シナ海、北緯26度30分から北緯35度の海域
期間:5月1日12時から9月16日12時まで
エビ用トロール網漁具、ケージおよびポット、刺し網および引き網は2021年5月1日12時から2021年8月1日12時まで。
- 東シナ海、南シナ海、北緯12度から北緯26度30分の海域
期間:2021年5月1日12時から2021年8月16日12時まで
- 小型トロール漁の禁漁期間は、2021年5月1日12時からが少なくとも3か月間、禁漁終了時期は、現地漁業当局によって決定され、農務省へ記録として報告される。
- 特別な経済価値のある水産動物については、特別漁獲許可制度の認可が必要である。
当該水産動物の漁獲操業時間、操業方法および操業海域を実施前に、現地の漁業当局および農務省へ届け出て認可を受けなければならない。
- 原則として、補助用漁船は現地海域の禁漁期間の全期間で禁漁。補助用漁船が、禁漁期間が終了する前に漁業資源に損害を与えないタイプの漁船をサポートする必要がある場合、現地漁業当局は提案書を作成し、実施前に農務省へ届け出て認可を受けなければならない。
- 漁具を備えた船舶は、出入港時の報告規則に厳密に従わなければならない。操業の種類、場所、時間制限、漁具の数に関する漁業認可の規則に違反することは厳しく禁じられる。漁獲物は、当局の検査と監督の下で所定の場所で水揚げされる。
- 原則として、漁船は禁漁期間中、船籍港に戻ること。もし、特別な理由で船籍港に戻ることができない場合は、船籍港の漁業当局に申請しなければならない。漁船は、地元の船舶とともに指定されたドックに係留するよう指示される。漁港の収容能力が制限されている場合は、地方漁業部と他の地方漁業部との間で調整し指示される。
- 漁業認可当局の規則は、漁船が漁労のために越境することを禁じている。
- 漁業当局は、省または自治区の規則に基いて現地の状況に応じて資源保護のためにより厳格な措置を講ずることがある。
- 渤海および黄海、北緯35度以北
- 実施日
夏季禁漁に関する上記規制は、2021年2月22日に発効し、夏季漁業禁止制度の調整に関する中国農務省の通知(農務省Circular [2018] No. 1)はそれに応じて廃止される。
以上