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国際海事局(IMB)海賊と武装強盗に関する2025年1~9月報告書

2025/10/22 No.1332
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国際海事局海賊情報センター(IMB PRC:The IMB Piracy Reporting Centre)から2025年1月から9月にかけての海賊と武装強盗に関する報告書を受領しましたので、IMBによる要約と共にご案内申し上げます。詳細は添付資料をご参照ください。

 

要約

2025年の最初の9か月間(1月から9月)にかけて、海上での海賊行為および武装強盗の報告件数が増加しています。これは主に、シンガポール海峡での事件発生件数が、1991年以来の最高を記録したことによるものです。

 

報告された事件のうち91%で、船舶への侵入が発生しました。内訳は、102隻が侵入、9隻が侵入未遂、4隻がハイジャックされ、1隻が発砲されました。侵入された船舶は、投錨中または航行中であり、そのほとんどが夜間に発生しました。

 

報告された事件の33%で加害者は銃器を携行しており、これは2017年以来で最も高い割合です。全体として、2025年最初の9か月間で少なくとも55%の事件において武器が確認されました。船員に対する暴力は幸いにも減少しましたが、引き続き懸念事項であり、影響を受けた船員は72人です。これは2024年と2023年の同期間で125人、95人と比較して減少しています。

 

全体の件数の急増は、シンガポール海峡での事件増加に全面的に起因しており、報告された116件のうち73件を占めています。

 

下表のとおり、事件の大半は船舶が航行中に報告されています。

Status when Attacked

Attempted

Boarded

Fired Upon

Hijacked

Grand Total

Anchored

3

20

23

Berthed

4

4

Steaming

6

78

1

4

89

Grand Total

9

102

1

4

116

 

事件が報告された地域は下表のとおりです。

Region

Attempted

Boarded

Fired Upon

Hijacked

Grand Total

Africa (Somalia)

1 1 3

5

Africa (Gulf of Guinea)

1

13

1

15

Americas

1

3

4

Indian Sub-Cont

1

7

8

East & SE Asia

6

78

84

Grand Total

9

102

1

4

116

 

シンガポール海峡

シンガポール海峡では、2025年最初の9か月間で73件の事件が報告されました。これはIMB PRCへの報告件数としては1991年以降で最多となります。しかし、2025年7月にインドネシア海洋警察(IMP)が2つのギャング団を逮捕して以降、事件の件数は顕著に減少しています。IMB PRCは、IMPの活動を称賛しています。IMPは、同水域を航行する全船舶に対し、いかなる事件も当局およびCh 16(IMPのパトロール艇によりモニターされているチャンネル)で報告するよう要請しています。

 

シンガポール海峡における事件報告数の推移は下図のとおりです。

 

ギニア湾

ギニア湾における事件発生件数は引き続き低い水準にとどまっており、地域当局の取り組みは称賛され、その維持が奨励されています。この期間に報告された事件は15件であり、過去2年間の同期間の件数は12件と21件になります。この傾向は目指すべきものですが、船員の安全とウェルビーイングはまだ保証されていません。同地域は、2025年の世界全体の船員誘拐件数の87%を占めています。IMBはこの水域を航行する全ての船員に対し、引き続き注意を払うよう促しており、最新版BMPに記載されている推奨慣行に従うよう引き続き呼びかけています。

 

ソマリア

これらの水域では、潜在的な海賊事件の脅威が依然として残っており、特に南西モンスーンが収束した現在、全ての船員は最新版BMPのガイドラインの遵守を求められています。