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国際海事局(IMB)海賊と武装強盗に関する2025年1~3月報告書

2025/04/23 No.1303
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国際海事局海賊情報センター(IMB PRCThe IMB Piracy Reporting Centre)から20251月から3月にかけての海賊と武装強盗に関する報告書を受領しましたので、IMBによる要約と共にご案内申し上げます。詳細は添付資料をご参照ください。


要約

2025年1月から3月にかけて、37隻が侵入、4隻がハイジャック、4隻が襲撃未遂されました。これは2024年の同時期と比較してほぼ35%の増加であり、この増加はシンガポール海峡での事件の増加によるものです。船員37人が人質に取られ、13人は誘拐され、2人は脅迫され、1人が負傷するなど、船員への暴力や脅迫は続いています。


下表のとおり、事件の大半は船舶が停泊中もしくは航行中に報告されています。

Status when Attacked

Attempted

Boarded

Hijacked

Grand Total

Anchored

1

7

8

Berthed

2

2

Steaming

3

28

4

35

Grand Total

4

37

4

45


事件が報告された地域は下表のとおりです。

Region

Attempted

Boarded

Hijacked

Grand Total

Africa (Somalia)

 

3

3

Africa (Gulf of Guinea)

5

1

6

Americas

1

1

2

Indian Sub-Cont

3

3

SE Asia

3

28

 

31

Grand Total

4

37

4

45

 

シンガポール海峡

シンガポール海峡では27件の事件が報告されましたが、2024年の同時期の7件から大幅に増加しています。ほとんどの事件は軽微な犯罪と見なされていますが、14件の事件で銃器が報告されています。2024年には世界中で26件の事件で銃器が報告されました。また、シンガポール海峡では6件の事件で10人の船員が人質にされ2人が脅迫され1人が負傷し病院での治療が必要となりました。シンガポール海峡で標的になった船舶の92%が侵入され、そのうち9隻は10万トンを超えるばら積み貨物船およびタンカーでした。

 

ソマリア

地元漁船と伝統的に母船として使用されてきたダウ船の3件のハイジャック事件と26人の船員の人質が報告されました。全ての船員は船舶と共に解放されましたが、相次ぐハイジャックは、ソマリアの海賊が依然として隙のある船を虎視眈々と狙っていることの証左と言えるでしょう。

 

ギニア湾

報告された事件数は安定しています。2件の事件で13人の船員が誘拐されたと報告されました。事件数の継続的な減少は歓迎されるべきことであり、IMB PRCは、船員を保護し犯人を逮捕する目的で継続的かつ強固な地域および国際的な海軍の存在と事件を迅速に報告し対応するための共通の情報共有メカニズムの使用を奨励し続けます。