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国際海事局(IMB)海賊と武装強盗に関する2024年上半期報告書

2024/07/17 No.1282
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国際海事局海賊情報センター(IMB PRCThe IMB Piracy Reporting Centre)から2024年上半期の海賊と武装強盗に関する報告書を受領しましたので、IMBによる要約と共にご案内申し上げます。詳細は添付資料をご参照ください。


要約

2024年上半期において、合計60件の事件が報告されました。内訳は、46隻が侵入、8隻が襲撃未遂、4隻がハイジャックされ、2隻が発砲されました。船員85人が人質に取られ、11人は誘拐され、2人は脅迫されるなど、船員への暴力や脅迫は続いています。


下表のとおり、事件の大半は船舶が停泊中もしくは航行中に報告されています。

Status when Attacked

Attempted

Boarded

Fired Upon

Hijacked

Grand Total

Anchored

6

26

 

32

Berthed

 

4

 

4

Steaming

2

16

2

4

24

Grand Total

8

46

2

4

60

 

事件が報告された地域は下表のとおりです。

Region

Attempted

Boarded

Fired Upon

Hijacked

Grand Total

Africa (Somalia)

1

2

2 3

8

Africa (Gulf of Guinea)

9

1

10

Americas

1

 

 

1

Indian Sub-Cont

3

9

 

12

East & SE Asia

4

25

 

29

Grand Total

8

46

2

4

60


ソマリア

この海域では合計8件の事件が報告されています。この数字には2隻の漁船と1隻のばら積み貨物船のハイジャックが含まれます。発砲2隻はこの地域で発生しました。ソマリア沖海賊の復活が懸念され、警戒が必要な一方で、彼らがこの海域の脆弱な海上安全環境を最大限に利用しようとしている可能性もあります。船長は最新版のBMP(Best Management Practices)で推奨されている全ての項目に従うことが求められます。


ギニア湾

5月にCabo Verde沖で発生したプロダクトタンカーの事件は異例です。犯人は積荷を盗むために本船を狙ったようですが、失敗に終わりました。通信、航行、インターネットや機器類に被害が及んだことも懸念材料で、攻撃性が高まっていることを示しています。この海域で事件が持続的に減少していることは待ち望んできたことですが、より広いギニア湾水域で船員の安心と安全を促進するために、地域が協力し、最善の努力を継続するよう推奨します。


アジア

バングラデシュ:2024年、バングラデシュ海域では事件の増加が顕著です。2023年の上半期は1件でしたが、2024年上半期は10件の報告がありました。全ての事件は停泊中の船舶から報告されました。2件の人質(陸上監視員)も報告されています。


インドネシア:事件報告数が増加しています。報告された事件12件のうち、6件はDumai停泊地で発生しました。船員2人が人質に取られ、1人は脅迫されました。

 

シンガポール海峡:2023年と比較すると事件報告数は減少しています。しかしながら、IMBは未報告の事件を認識しています。ほとんどは単なる出来心によるものと考えられますが、主な懸念は侵入された船舶の大きさです。175,000 DWTを超える船舶が3隻、60,000 DWTを超える船舶6隻が航行中に侵入され、航行中のリスクが上昇している可能性があります。