コロンビア-2024年麻薬密輸報告書
コロンビアのコレスポンデンツA&A Multiprimeから掲題に関する情報を入手しましたので、要点をご案内します。
本船上で麻薬が見つかった場合、当局や検察の調査が開始され、本船は拘留されます。本船が有責とされた場合、罰金が科される場合もあります。麻薬の運び屋は、高度な技術を用いて麻薬を船舶や貨物に忍ばせます。入港前から出港まで監視を強化することが重要です。コロンビアに寄港する際には、本船に麻薬が持ち込まれないよう対策を取ることが推奨されています。詳細は添付資料をご参照ください。
- はじめに
海事当局(DIMAR)や各港の麻薬担当官から、最近の麻薬輸送の実態、コロンビア諸港への寄港時の注意点や推奨事項を聞き取って本レポートにまとめた。
- コロンビア当局の懸念
果物(特にUraba・Magdalena地域のバナナ)を積んだリーファーコンテナや石炭・スクラップの積載船に麻薬が隠されることが多い。
- 麻薬の運び屋の手口
- 少量の麻薬を本船上(船室、ファンネル、甲板、貯蔵室、機関室など)に隠す。
- コンテナ(特にリーファーコンテナ)内に不法物質を隠す。
- 麻薬を入れた容器をばら積み貨物に紛れ込ませる。
- 麻薬を貨物に似せてばら積み貨物(特に石炭)に紛れ込ませる。
- 麻薬入りの袋をシーチェストに潜めたり、ダイバーを使って外板・ラダー・チェーンロッカー・推進機・ベント管・海水取入口などに取り付けたりする。
- 新たな輸送ルート
コロンビアのBuenaventuraやTumacoなどの太平洋沿岸の港から密輸されることが多いが、最近はエクアドルやペルーを経由し、監視がさほど厳しくないチリやウルグアイに輸送されるルートができているので、コロンビア以外の国でも麻薬への注意が必要。
- 当局(DIMAR)の決議
コロンビア水域を航行する船舶は、本船のShip Security Alert Systemが当局の受信機とつながるよう所定の設定を行わなければならない。
- 防止策
入港前の対策
- 船員が船外に出る場合は、麻薬の運び屋からの接触に用心すること。
- Ship’s Security Planのアップデートと遵守
- 当局との連絡を担うShip’s Security Officerの選任
- 代理店から最新の港湾情報の入手
- 入港前・入港中・出港後における人(当局・ステベ・港湾関係者・船員)の乗下船に関する正確な記録の保持
入港中・錨地での対策
- 船底検査
- 警備員の配置
- 第三者による怪しい行為が認められた場合は速やかに船長に報告する。
- 警備担当の船員は乗船する者の所持品検査を行う。
- 錨地では24時間体制での監視
- 入港中はロッカーやコンテナの封印シールが破損していないか常に監視する。
- アクセスが難しい区域には侵入ができないようにバリアーを設置する。
- 不審者が乗船しようとした場合は速やかにSecurity Officerか船長に報告する。
- 居住区や貯蔵庫には施錠する。
- ステベなどの乗船者が居住区や荷役を行っていない船倉に近づかないように監視する。
- 陸上側Gangwayには監視員を配置する。
- 海側Gangwayは格納しておく。
- 全ての乗船者をGangway Logbookに記録する。
- 追加の警備を配置して、不審な行動を取るものがいないか監視する。
- 固体ばら積み貨物の積載が完了したら、サーベイヤー立会いの下、ホールドのシーリングを施す。
- 本船から麻薬が見つかった場合の対応策
- 速やかにP&Iクラブ、P&Iコレスポンデンツ、船主、管理会社に通知する。
- 速やかに警察に通報して全ての関連情報を提供する。
- 麻薬には手を触れない。
- 麻薬が見つかった区域の写真撮影・ビデオ撮影を行う。
- 当局によって麻薬が発見された場合は、船長と乗組員は取調べを受けることになる。本船の出港も差し止められる。麻薬がコンテナから見つかった場合は、コンテナは証拠物として押収される。
コロンビア法による罰則規定
- 当局による調査:港湾規則違反が認められた場合、調査は3年程度に及ぶことがあり、最悪の場合本船に罰金が科される。罰金はUSD350,000に及ぶことがある(行政罰)。
- 検察による刑事捜査:本船・乗組員が捜査を受ける場合、本船は拘留され、乗組員は禁錮となる。乗組員が有罪となった場合、8年から20年の禁錮、及びコロンビアの最低賃金の1,000か月から50,000か月分の罰金が科される(刑事罰)。船主が有罪となった場合、本船は没収されることがある。
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