2020年SOx規制-適合油の「混合安定性」と「低温流動性」にご注意ください
2020年1月1日以降、船舶の燃料油の硫黄分許容限度は、3.5% m/mから0.5% m/m(以下、適合油)に強化されます。規制の概要については、2019年7月1日付特別回報第19-008号をご参照ください。
適合油の使用については、事故防止の観点から以下の点にご注意いただくことをお勧めします。
- 懸念リスク
適合油は、製造方法が多様となるため、以下の5つの性状に関するリスクが懸念されています。
①混合安定性 ②低温流動性 ③低動粘度 ④Cat-Fine(AL+Si) ⑤着火・燃焼性
特に、「混合安定性」と「低温流動性」については、過度のスラッジ化とワックス結晶化の場合に、エンジン運転に直接的な悪影響を及ぼすといわれ、配管の閉塞による移送不能および機関停止や、回転体内での堆積による清浄機の運転不能が懸念されます。
- 対策
燃料管理の基本として、以下が有効です。
- 混合安定性 → スラッジ化対策
最重要事項: 貯蔵タンク内や配管内で混ぜない、もしくは、混合割合を極力低くする。
処置:
- 不安定な場合は、スラッジ分散剤を使用する。
- ストレーナーは、頻繁に掃除する。
油清浄機は、通油量を下げ、スラッジ排出間隔を短く、通油温度を上げ、回転体の開放間隔を短くする。 - 本船にスラッジ分散剤の予備を搭載しておく。
- 低温流動性 → ワックス結晶化対策
最重要事項: 流動点(温度)+10℃以上に維持、加熱する。
処置:
- 加熱装置がなく、燃料管理に影響のある海水温度、配管周囲温度、機関室温度、気温を流動点(温度)+10℃以上にできなければ、ワックス結晶化に対し抑制効果のある添加剤を使用する。
- ストレーナーや清浄機への処置は、上述のスラッジ化対策と同じ。
- 本船にワックス結晶化に対し抑制効果のある添加剤の予備を搭載しておく。
また、ClassNKより適合油を使用する船舶の乗組員の方々へ向けての「混合安定性」および「低温流動性」に焦点を当てた、関連するリスクとその対策やスラッジ分散剤や溶解剤を提供している各メーカーからの技術情報を盛り込んだ、冊子が発行されていますので、ご参考までにご紹介します。詳細は、添付を参照下さい。
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