米国-Houston地域の燃料油について
本年4月ごろより、米国Houston地域で供給された舶用燃料油による船舶の機関トラブルが発生しています。最近ではパナマやシンガポールでも類似のトラブルが発生しているとの情報もあります。当該地域で補油燃料油を使用する際は、十分にご注意ください。
- 米国沿岸警備隊(USCG)「Safety Alert 10-18」
- 燃料油の異物混入は、エンジントラブルを招くばかりでなく、これに付随する損傷を引き起こし、広範囲に及ぶ壊滅的な結果を招く可能性がある。
海洋汚染防止条約(MARPOL条約 附属書VI regulation 18.3)や国際規格ISO8217では燃料油への有害成分の混合は禁止されているが、問題となっているC重油(IFO 380)に含まれていた成分は、燃料ポンプの固着およびその他の燃料システムへの異常を発生させることがあり、さらに、スラッジを増加させ、フィルターを閉塞させることもある。 - 燃料の一般性状分析では、問題の燃料油の混合成分を特定できない。そのため、船主、船舶管理会社、運航者にとって重要なことは、燃料使用可否を判定するために特殊分析をおこなえる分析機関へ依頼することである。
- この潜在的な危険を認識する
- 燃料供給系統装置と燃料噴射装置の運転/作動を詳細に監視し、注意を払う
- 補油のサプライヤーおよび技術コンサルタントへ本件の対応策を相談する
- バンカー(補油)注文の条件に注意を払う
- 燃料に異常成分が存在しないことを指定する
- 燃料の酸価を決定する
- 関連情報
- ご参考
USCGは2018年6月8日に本件に関するSafety Alert 10-18(安全警報)を発行し、米国Houston地域で供給された舶用燃料油による船舶の機関トラブルの注意喚起をしましたので、概要を以下のとおりご紹介します。詳細は添付「USCG Marine Safety Alert 10-18」をご参照ください。
トラブル
対策
対応策として、船主、管理会社、運航者は、以下に注意し、警戒すること。
コレスポンデンツの情報によれば、米国ヒューストンの多くのサプライヤーから問題の燃料油の供給が広がっていますが、バンカー業者は燃料油を融通しあっているため、経路が複雑となり発生源の特定が困難とのことです。
また、組合員からは、シンガポールでも類似のケース(燃料ポンプ固着や過剰スラッジ発生などの不具合、特殊分析によるフェノールの検出)が報告されています。
パナマでも類似のケースが報告されています。
当組合は、2014年に燃料油に関するP&Iロスプリベンションガイド30号「燃料油-品質と補油数量について」(PDF: 489KB))を発行しました。当ガイドでは、粗悪油の注意点についても触れています。
この記事に関するお問い合わせはこちら