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第593回理事会結果のご報告

2016/11/22 第16-015号
  • 内航
  • 外航
2016年11月22日(火)12時00分より、東京の海運クラブにおいて当組合の第593回理事会が開催されました。下記のとおり主要な決議内容をご報告申し上げます。

I. はじめに

国内外の経済環境は、2016年前半は景気減退の流れが減速したとの見方があるものの、依然として不透明な状況にあり、海運業界においても引き続き2017年は厳しいマーケットになることが予想されています。そのような環境の中、当組合には本年10月20日時点で内外航あわせて4,412隻9,189万総トンの船舶にご加入いただいており、組合員各位のご支援に感謝申し上げます。

2016保険年度のクレーム傾向については、外航船保険は組合員各位の安全運航へのご努力により、上半期は良好に推移しております。内航船保険も悪績であった昨年に比し良好な保険成績で推移しております。しかしながら、内航船/外航船とも、例年下半期にかけてクレームが増加する傾向などもあることから、今後も予断を許さない状況であることに変わりありません。

2017保険年度の保険料率及び過年度追加保険料・精算保険料につきましては、引き続きP&I保険市場での競争が激化する中で、組合員各位を取り巻く事業環境、保険事業収支バランス等の各要素を慎重に考慮し、以下のII. 1.に記載のとおり決定いたしました。何卒格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

II. 理事会主要決定事項

1. 2017保険年度保険料率及び過年度追加保険料・精算保険料

    各保険種目の来年度保険料率等については、以下のとおり決議されました。


      1) 外航船保険


       a. 2017保険年度 保険料率

        外航船保険の保険料率についてはGeneral Increaseを行いません。ただし、各組合員の保険成績による調整に加え、国際P&Iグループ(IG)再保険コスト(General Excess Loss Reinsurance Cost)に変動がある場合はそれに応じた調整を行います。
        予想追加保険料率及び精算保険料率は、前払保険料に対しそれぞれ40%及び45%と致します。

       b. 過年度 追加保険料及び精算保険料

          2013保険年度
          当初予想していた40%の追加保険料を2015年1月にお支払い頂いており、これ以上のご負担を願うことなくクローズ致します。

          2014保険年度
          ① 現況
          当該保険年度の保険成績は、今後大幅な変動はないものと見込まれます。
          ② 徴収率
          当該保険年度の前払保険料に対して、当初予想していた40%の追加保険料のうち20%を2016年1月にお支払い頂きました。今後大幅な変動はない見込みから、予想追加保険料率及び精算保険料率をそれぞれ0%及び5%へ変更しオープンのままと致します。

          2015保険年度
          ① 現況
          当該保険年度の保険成績は、今後大幅な変動はないものと見込まれます。
          ② 徴収率
          当該保険年度の前払保険料に対して、当初は40%の追加保険料のご負担をご予定頂いておりましたが、このうち30%の追加保険料をご負担願うことと致します。これにより、予想追加保険料率及び精算保険料率をそれぞれ10%及び15%へ変更致します。
          ③ 支払期日
          当該保険年度前払保険料に対する30%相当額を、2017年1月31日(火)を支払期日としてお支払い頂きます。

          2016保険年度
          当該保険年度の予想追加保険料率及び精算保険料率は、40%及び45%のままで変更はありません。

      2) 用船者責任保険特約


        2017保険年度 保険料率

        用船者責任保険特約の保険料率についてはGeneral Increaseを行いません。


      3) FD&D特約


        a. 2017保険年度 保険料率

          FD&D特約の保険料率についてはGeneral Increaseを行いません。
          予想追加保険料率及び精算保険料率は、前払保険料に対しそれぞれ20%及び25%と致します。

        b. 過年度 追加保険料及び精算保険料

          2013保険年度

          当初予想していた20%の追加保険料は、ご負担を願うことなくクローズ致します。


          2014保険年度

          当該年度の予想追加保険料率及び精算保険料率は、それぞれ20%及び25%のまま据え置くことと致します。


          2015保険年度

          当該年度の予想追加保険料率及び精算保険料率は、それぞれ20%及び25%のまま据え置くことと致します。


          2016保険年度

          当該年度の予想追加保険料率及び精算保険料率は、それぞれ20%及び25%のままで変更はありません。


          *上記1)と3)の精算保険料は、保険料リスク、市場変動リスク、保険事業リスク、組合員の倒産リスクなどを総合的に勘案し、各保険年度の前払保険料に対して一律5%と設定しています。


      4) 内航船保険


        2017保険年度 保険料率

        内航船保険の保険料率については、「甲」、「乙」及び「丙」の現行料率を据え置きます。


2.保険契約規定一部変更


      2017年2月20日より保険契約規定の一部を変更することが決議されました。


    1)第2条(告知及び通知義務)第3項変更
      第10条(保険契約の継続)第5号変更
      第11条(保険契約の解約又は解除)第2項変更
      第16条(船級等の保持及び法令の遵守)第1項第5号変更

        上記条項は、当組合が保険提供を行う上で根幹に関わる重要事項について、組合への通知を組合員に義務付けるものです。現行規定では通知の方法について言及していませんが、かかる重要事項の通知は「書面」で行われることを明記するものです。


    2)第19条(船員に関する責任及び費用)第1項第6号及び第8号変更、第2項第3号変更、第4項冒頭及び第5号変更

        2017年1月18日に「2006年の海上の労働に関する条約の2014年改正文書」 (改正MLC)が発効することに伴うものです。改正MLC発効に先立ち、てん補に際しての取扱いを定めた特別条項を制定することから、現在第19条に規定している改正MLC関連のてん補に関する取扱いに関する規定を削除するものです。


    3)第25条(汚濁に関する責任及び費用)第1項冒頭

        2016年5月に開催された万国海法会で採択された2016年ヨーク・アントワープ規則を加えるものです。なお、国際P&Iグループ(IG)内での協議・検討の結果、1974年又は1994年ヨーク・アントワープ規則を摂取している船荷証券が存在しており、それらに基づく共同海損精算が発生する可能性があるとの結論に至り、1974年、1994年、2016年ヨーク・アントワープ規則を併記することにしております。


    4)第29条(積荷に関する責任及び費用)第2項第4号変更

        IGのプール協定の改定に伴い、「船荷証券又は類似の権利証券」には電子船荷証券を含むこと、及び船荷証券類の提出に関して電子船荷証券の場合には提出に相当する行為が該当することを明確化するものです。さらに、本号の規定は組合の承認を受けた電子商取引システム(2016年11月22日現在、Bolero、essDOCS、e-titleTMの3システムを承認)を使用して適切に貨物を引き渡した場合には適用しないことを明記しました。


    5)第35条(一般除外規定)第1項第7号変更

        IGのプール協定の改定に伴い、てん補除外規定の適用条件を、契約に基づく油井への接続から契約に基づく油井からの分離までとすることで規定の明確化を図るものです。


    6)第35条(一般除外規定)第2項第7号新設

        改正MLC発効に伴い、組合が提供する金銭上の保証を追加するものです。


      なお、変更内容の詳細につきましては、2017年1月下旬に発行予定の特別回報にて改めてご案内申し上げます。


3.2017年改正STOPIAとTOPIAの件


      タンカーの油濁損害について、国際条約を補完する形でタンカー船主間にて合意された民間自主協定であるSTOPIA(小型タンカー油濁補償協定)及びTOPIA(タンカー油濁補償協定)の改正を承認することが決議されました。同改正は2017年2月20日に発効する予定です。STOPIA及びTOPIAの詳細につきましては、2006年2月7日付特別回報第05-013号「改正小型タンカー油濁補償協定(STOPIA2006)およびタンカー油濁補償協定(TOPIA)について」をご参照下さい。

      今回の改正内容は次の通りです。

      1) STOPIA/TOPIA両協定の再調査(見直し)対象期間を5年毎から10年毎に変更
      2) 再調査対象の油濁損害クレーム実績を、協定発効時(2006年2月20日)からの累積件数/金額に変更
      3) 制裁リスクがある場合には補償を支払わない旨の規定を追加

      改正内容の詳細につきましては、別途特別回報にて改めてご案内申し上げる予定です。