電子商取引システム(ペーパーレス トレーディング)-ESS及びBolero (その2)
- 外航
本特別回報は、Electronic Shipping Solutions (ESS)の電子商取引システム最新バージョンが、国際P&Iグループ(IG)により承認されていることをご案内するものです。当該バージョンはDSUA 2013.1とよばれ、船荷証券(bills of lading)と貨物運送上(waybills)の両方の電子商取引に用いることができます。当該バージョンはESSの従前の電子商取引システムDSUA 2009.3に代わるものですが、DSUA 2009.3も引き続きクラブカバーに関して承認されています。DSUA 2013.1は2013年3月18日より有効になります。
2010年10月6日付特別回報第10-015号でご案内しておりますように、2010年2月までIG加盟各クラブのルールでは電子商取引(ペーパーレス トレーディング)システムでの積荷の運送に関する責任につき、従来の書面による取引からは生じなかったであろうものについてはてん補から除外していました。
IGでは、多数の電子商取引システムを検討し、2010年2月20日から、IGが承認したシステムの下での積荷の運送人に関する責任については、これをてん補対象とすることに合意しました。上記特別回報第10-015号発行時点でIGが承認していたシステムは、Electronic ShippingSolutionsが運営するシステム(the ESS system - version DSUA 2009.3)とBolero InternationalLtdが運営するシステム(the Bolero system - Rulebook/Operating Procedures September 1999)でした。これら両システムは引き続き承認されています。なお、両システム運営会社のウェブサイトはwww.essdocs.com及びwww.bolero.netです。
両システムの利用と運営に関する法的文書が変更される場合には、それがIGの要求を満たすものかどうか、IG及びそのリーガルアドバイザーにより検討されます。
積荷の運送に関して従来よりクラブルールでカバー対象外とされている事項は、当然のことながらESS及びBoleroによる運送に関してもペーパーシステムの場合と同様にてん補対象外となります。例えば、運送契約に定められた港または地以外での積荷の荷揚げ、日付を繰上げ若しくは繰下げた電子書類/記録の発行/作成、流通電子書類/記録の提示なしでの積荷の引き渡し等から生じる責任等はてん補対象ではありません。
電子商取引システムに参加する場合には、従来のP&I保険が対象としている責任とは異質の責任を負うことになる可能性がありますのでご注意下さい。それは、ESSやBoleroに参加しようとする船主や用船者が、ESSやBoleroの契約当事者となり、それらシステムを利用する過程で必然的に負うことになるであろう責任です。例としては、電子データの守秘義務違反や、コンピュータリンク維持義務違反による責任があります。これらリスクはP&I保険でカバーされるリスクではなく、別途保険の手配が必要になる場合がありますのでご注意下さい。
最後に、上記2つのシステムの利用状況や展開を把握する上で、当該電子商取引システムを利用された組合員は、利用されたシステム並びに法律的/実務的な利点/問題点をご連絡頂けると幸いです。
国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。