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ペーパーレス トレーディング – Bolero 及びESS

2010/10/06 第10-015号
  • 外航
首題に関し、ペーパーレス トレーディングについての当組合特別回報第98-021号(1999年1月13日付)、第99-018号(1999年10月29日付)及び第07-004号(2007年8月28日付)をご参照下さい。

2010年2月まで、国際P&Iグループ(以下、グループ)の各クラブのルールでは、電子商取引(ペーパーレス トレーディング)システムの下での積荷の運送に関する責任につき、従来の書面による取引からは生じなかったであろうものについては、てん補対象から除外していました。

グループは、多くの電子商取引システムを検討し、2010年2月20日から、グループが承認したシステムの下での積荷の運送に関する責任については、これをてん補対象とすることに合意致しました。本回報発行時点でグループが承認しているシステムは、Electronic Shipping Solutionsが運営するシステム(ESS)とBolero International Ltdが運営するシステム(Bolero)の2つで、承認したバージョンはそれぞれthe ESS system - version DSUA v. 2009.3及びthe Bolero system -Rulebook/Operating Procedures September 1999です。両システムのウェブサイトはwww.essdocs.com及びwww.bolero.netです。

両システムの利用と運営に関係する法的文書が変更される場合には、それがグループの要求を満たすものかどうか、グループとその顧問弁護士により検討されることになります。

クラブルールで、積荷の運送に関し従来よりてん補対象外となっております事項は、当然のことながらESS及びBoleroによる運送に関しても、紙のB/Lの場合と同様にてん補対象外となります。例えば、運送契約に定められた港または地以外での積荷の荷揚げ、日付を繰上げ若しくは繰下げた電子書類/記録の発行/作成、流通電子書類/記録(negotiable electronic document/record)の提示なしでの積荷の引渡し等から生じる責任等はてん補対象ではありません。

組合員の皆様が電子商取引システムへ参加する場合には、従来からP&I保険が対象としている船主責任とは異質の船主責任を負うことになる可能性につき、ご留意願います。これらはESSやBoleroに参加しようとする船主や用船者が、ESSやBoleroの契約当事者となり、それらシステムを利用する過程において必然的に負うことになるであろう責任です。例としては、電子データの守秘義務違反やコンピュータリンク維持義務の違反による責任があります。組合員の皆様におかれましては、これらのリスクはP&I保険でカバーされるリスクではなく、別途保険手配が必要となることをご承知おきください。

最後に、上述の二つの電子商取引システムをご利用になられた方におかれましては、ご利用のシステム並びに法律的/実務的な利点/問題点を当組合までご連絡いただけると幸いです。グループとして今後のシステムの利用状況や展開を把握する上で、参考にさせて頂きます。

なお、国際P&Iグループの全てのクラブが同様の回章を発行しています。