米国での油濁事故 – NRC及びMSRC – 分散剤の使用に関するMSRCとの追加協定
2011/08/31 第11-010号
- 外航
1. タンカー船主 | |
米国Coast Guard規則により、タンカー船の事故対応計画書(VRP)に、処理作業の一部として航空機による分散剤の散布ができる油処理清掃業者(OSRO)を記載することが要求されることになりました。同規則の施行までの間、主要な油処理清掃業者(OSRO)であるNRC及びMSRCは、本年8月21日まで分散剤の散布能力を要せずに各々の契約者の事故対応計画書が継続できる許可を得ていました。同期間は本年9月30日まで延長されており、それ以降はタンカー船の運航事業者は事故対応計画書に分散剤散布能力を有する油処理清掃業者(OSRO)を記載する必要があります。 | |
MSRC及びNRCはハワイを除く米国全土で分散剤の散布能力を備えており、ハワイではNRCまたはMSRCのいずれかに加えClean Islands Councilという業者を記載することが必要になります。 | |
本年8月10日にMSRCより各契約者に対して、「分散剤追加協定」(dispersantaddendum)を含むサービス協定の変更が通知されました。同追加協定は船主にクラブのてん補の範囲外となる責任を負わせる内容になっています。国際P&Iグループとの協議により、MSRCは分散剤の使用を含む場合にのみ追加協定を適用するとしてその適用範囲を狭め、本年8月22日付で各契約者に対して9月9日までに改正された追加協定書に署名し返送するよう求めるメッセージを送りました。新たに課される責任は一方的なものであり、MSRCとの契約はある場合において船主による責任制限の権利を放棄することを要求するものであるため、残念ながらMSRCとのサービス契約は国際P&Iグループ策定のガイドライン(US VRP guidelines)に沿ったものではなくなってしまっています(国際P&Iグループガイドラインについては、2009年6月22日付特別回報第09-002号「事故対応計画(VRP) - 国際P&Iグループガイドライン/その後の動き」をご参照下さい)。従いまして、追加保険の手配が必要となります。MSRC追加協定書(2011/8/22バージョン)に署名することを希望される組合員は追加保険の詳細について当組合へご相談下さい。一方、NRCは現在のところ現行の契約に対する改正/追加協定は行わないこと確認しております。 | |
なお、タンカー船の組合員におかれましては、事故対応計画にNRCまたはMSRCを記載していたとしても、ハワイに寄港する際にはClean Islands Councilも事故対応計画書に記載する必要がありますのでご注意下さい。Clean Islands Councilの請負契約は国際P&Iグループガイドラインに沿ったものではなく、完全なP&Iカバーを得るためには追加保険の手配が必要になります。追加保険の詳細については当組合へご照会下さい。 | |
2. 非タンカー組合員 | |
非タンカー船に関しては、事故対応計画書に分散剤散布サービス提供者としてMSRCを記載していなければ(現在のところ、連邦法でも州法でも分散剤散布サービス提供者の記載は要求されていません)、MSRCの追加協定書に予め署名する必要はありません。但し、分散剤の使用が予想される油濁事故の場合には追加協定の締結が必要になります。 | |
しかしながら、非タンカー船であっても事故対応計画書に分散剤サービス及びその提供者としてMSRCを記載している場合は、MSRC追加協定書の条項に同意することが求められ、追加保険が必要となります。 | |
非タンカー船運航者は事故対応計画書に分散剤散布サービスが記載されていないことをご確認下さい。事故対応計画書に分散剤散布サービス提供者としてMSRCを記載することを希望される場合には、上記のとおり追加保険の手配が必要となります。追加保険の詳細については当組合へお問い合わせ下さい。 |