中国におけるStraight B/Lと貨物引渡しに関する最近の動向について (Wang Jing & Co. 2004年9月付Legal Circularより)
2005/01/05 No.515
- 外航
上海の法律事務所Wang Jing & Co.のLegal Circularより、中国におけるStraight B/Lと貨物引渡しに関する最近の動向に関する情報を入手しました。同Circularの原文に弊組合による試訳を添付し、ご参考に供します。
Straight B/L(記名式船荷証券)は権原証券ではないため、運送人はStraight B/Lに記載された荷受人に対して貨物を引渡すことを引き受けているのであり、従って運送契約上荷送人は貨物の所有権を第三者に移転することはできない、という見解を、中国の裁判所は近年の多くのケースにおいて取ってきた。従って、貨物がB/Lに記載された荷受人に引渡される限り、それをもって運送人は、貨物の引渡しに関する運送契約上の責任を完了したとみなされてきた。
我々の知るところでは、上記の考え方は否定される傾向にある。The Commission of LegislativeAffairs of the Standing Committee of the National People's Congress(全人代の立法常任委員会)は、Straight B/Lであろうとなかろうと、貨物の引渡し時には運送人はオリジナルB/Lの提示を受けなければならぬ旨、中国の裁判所に対してガイダンスを出したとのことである。このガイダンスに従えば、B/Lの提示を受けずに貨物を引渡した場合、運送人はB/L所持人の損害に対して責任を負うこととなる。Guangzhou Maritime Courtを含むいくつかのMaritime Courtで、B/Lの提示を受けずにStraight B/L上に記載された荷受人に対して貨物を引渡した運送人を有責とする判決が下されているが、それらはみなこのガイダンスが出されて以降のことであると我々は見ている。
2004年9月17日、Quindaoで第13回海事裁定に関するセミナーが開催され、Chinese Supreme Court、Court of Appeal、Maritime Courtの裁判官が参加した。焦点となった議論の一つは、Straight B/Lとの引き換えなしに貨物の引渡しが可能かどうかという点であった。議論の結果、Straight B/Lの性質やそれが譲渡可能かどうかという問題とは関係なく、Maritime Code of the People's Republic of Chinaが適用される範囲においては、Straight B/Lで運送された貨物は、必ずB/Lと引換えに引渡されなければならないという結論に達した。
Straight B/Lの性質については、常に議論の対象になるところである。中国の学者の間では、MaritimeCode of the People's Republic of Chinaの第79条によりStraight B/Lは譲渡不可能な証券であり、従って権原証券ではなく単に貨物受取証の機能しか持たないものであるとの学説が有力であり、実際にこの考え方は幾度となく裁判で受け容れられ、認められてきた。反対の議論は、同法の第71条を拠り所としており、そこにはB/L(straightでもそうでなくても)は権原証券であり、運送人は常にオリジナルB/Lの提示に対して貨物を引渡す義務を負うと規定されている。
この議論には、少なくとも司法レベルにおいては、遂に終止符がうたれたと言える。法規定として明文化されたわけではないが、現在及び今後の訴訟においては、中国の裁判所は上述したガイドラインに基づいて判決を下すこととなると思われる。今後、オリジナルのStraight B/Lの提示なく貨物を引渡した運送人を無責とした判決によって敗訴した側のB/L所持人が、判決の実効から2年間という時効が切れる前に、再度訴訟を提起してくる可能性がある。
対中国の輸送に従事する船主は、上記の動向に留意されることをお勧めする。
Straight B/L(記名式船荷証券)は権原証券ではないため、運送人はStraight B/Lに記載された荷受人に対して貨物を引渡すことを引き受けているのであり、従って運送契約上荷送人は貨物の所有権を第三者に移転することはできない、という見解を、中国の裁判所は近年の多くのケースにおいて取ってきた。従って、貨物がB/Lに記載された荷受人に引渡される限り、それをもって運送人は、貨物の引渡しに関する運送契約上の責任を完了したとみなされてきた。
我々の知るところでは、上記の考え方は否定される傾向にある。The Commission of LegislativeAffairs of the Standing Committee of the National People's Congress(全人代の立法常任委員会)は、Straight B/Lであろうとなかろうと、貨物の引渡し時には運送人はオリジナルB/Lの提示を受けなければならぬ旨、中国の裁判所に対してガイダンスを出したとのことである。このガイダンスに従えば、B/Lの提示を受けずに貨物を引渡した場合、運送人はB/L所持人の損害に対して責任を負うこととなる。Guangzhou Maritime Courtを含むいくつかのMaritime Courtで、B/Lの提示を受けずにStraight B/L上に記載された荷受人に対して貨物を引渡した運送人を有責とする判決が下されているが、それらはみなこのガイダンスが出されて以降のことであると我々は見ている。
2004年9月17日、Quindaoで第13回海事裁定に関するセミナーが開催され、Chinese Supreme Court、Court of Appeal、Maritime Courtの裁判官が参加した。焦点となった議論の一つは、Straight B/Lとの引き換えなしに貨物の引渡しが可能かどうかという点であった。議論の結果、Straight B/Lの性質やそれが譲渡可能かどうかという問題とは関係なく、Maritime Code of the People's Republic of Chinaが適用される範囲においては、Straight B/Lで運送された貨物は、必ずB/Lと引換えに引渡されなければならないという結論に達した。
Straight B/Lの性質については、常に議論の対象になるところである。中国の学者の間では、MaritimeCode of the People's Republic of Chinaの第79条によりStraight B/Lは譲渡不可能な証券であり、従って権原証券ではなく単に貨物受取証の機能しか持たないものであるとの学説が有力であり、実際にこの考え方は幾度となく裁判で受け容れられ、認められてきた。反対の議論は、同法の第71条を拠り所としており、そこにはB/L(straightでもそうでなくても)は権原証券であり、運送人は常にオリジナルB/Lの提示に対して貨物を引渡す義務を負うと規定されている。
この議論には、少なくとも司法レベルにおいては、遂に終止符がうたれたと言える。法規定として明文化されたわけではないが、現在及び今後の訴訟においては、中国の裁判所は上述したガイドラインに基づいて判決を下すこととなると思われる。今後、オリジナルのStraight B/Lの提示なく貨物を引渡した運送人を無責とした判決によって敗訴した側のB/L所持人が、判決の実効から2年間という時効が切れる前に、再度訴訟を提起してくる可能性がある。
対中国の輸送に従事する船主は、上記の動向に留意されることをお勧めする。