韓国法で船舶が全損となった際に船主が回収可能な損害について
2004/05/18 No.499
- 外航
(韓国Seoulの弁護士事務所Kim & Changからの情報より)
船舶が全損となった際に船主が回収可能な損害の範囲につき、韓国の最高裁の判断に変更がありましたので、以下判例(Case No.2001Da82507)をご案内申し上げます。
2004年3月18日韓国の最高裁は、現実全損となった船舶の船主が回収可能な損害に関し従来の判断を変えた。
契機となった事故は、1999年7月11日に起こった漁船(A号)と他船(B号)の衝突事故である。衝突の結果、A号は沈没しA号の船主は代替船を捜し1999年11月9日に取得した。
その後A号の船主はB号の船主に対し、A号の船価、代替船を取得するまでの間(1999年7月11日−1999年11月9日)の逸失利益、慰謝料を求める訴訟を提起した。
控訴裁判所はA号の船主に船価と慰謝料の賠償請求を認める一方、代替船を取得する間の逸失利益の請求は認めなかった。原告、被告双方ともに判決に不服を示し、本件は最高裁に上告された。
従来、最高裁は船舶が全損となった場合、その船主は損害賠償請求として全損時の船価プラス遅延損害金のみを回収できるとの判断を下していた。代替船を取得するまでの間の不稼働損害や逸失利益については、船価(プラス遅延損害金)が船主の被った損害を補償し得ると判断し、船主にそれらの損害賠償請求権はないとの見解であった。
しかしながらこの判決で、最高裁はA号の船主は船価(プラス遅延損害金)同様に代替船を確保するまでに費やした妥当な期間の逸失利益も請求し得ると判断し、その見解を変えた。一方で、最高裁は物損に通常賠償請求が認められていない慰謝料の請求は退けた。
13名の最高裁判官の誰もこの判断に異議を唱えなかったため、今後韓国においては推定全損の場合にも同様の判決が下される可能性があるものと思われる。
船舶が全損となった際に船主が回収可能な損害の範囲につき、韓国の最高裁の判断に変更がありましたので、以下判例(Case No.2001Da82507)をご案内申し上げます。
2004年3月18日韓国の最高裁は、現実全損となった船舶の船主が回収可能な損害に関し従来の判断を変えた。
契機となった事故は、1999年7月11日に起こった漁船(A号)と他船(B号)の衝突事故である。衝突の結果、A号は沈没しA号の船主は代替船を捜し1999年11月9日に取得した。
その後A号の船主はB号の船主に対し、A号の船価、代替船を取得するまでの間(1999年7月11日−1999年11月9日)の逸失利益、慰謝料を求める訴訟を提起した。
控訴裁判所はA号の船主に船価と慰謝料の賠償請求を認める一方、代替船を取得する間の逸失利益の請求は認めなかった。原告、被告双方ともに判決に不服を示し、本件は最高裁に上告された。
従来、最高裁は船舶が全損となった場合、その船主は損害賠償請求として全損時の船価プラス遅延損害金のみを回収できるとの判断を下していた。代替船を取得するまでの間の不稼働損害や逸失利益については、船価(プラス遅延損害金)が船主の被った損害を補償し得ると判断し、船主にそれらの損害賠償請求権はないとの見解であった。
しかしながらこの判決で、最高裁はA号の船主は船価(プラス遅延損害金)同様に代替船を確保するまでに費やした妥当な期間の逸失利益も請求し得ると判断し、その見解を変えた。一方で、最高裁は物損に通常賠償請求が認められていない慰謝料の請求は退けた。
13名の最高裁判官の誰もこの判断に異議を唱えなかったため、今後韓国においては推定全損の場合にも同様の判決が下される可能性があるものと思われる。