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台湾水域における油濁損害賠償責任を担保する強制保険について

2005/06/06 第05-001号
  • 外航
台湾では総統令のもとで2000年11月1日付けでMarine Pollution Control Actが公布されています。同法令は海上及び陸上施設からの汚染に関する予防・対応策を定めるとともに、特に海上での油流出事故に対する責任を規定するものです。台湾環境保護局(EPA)が同法令を所管します。

同法令は船舶による海上汚染損害に対し船主が責任を負うことを定めるものですが、船主の同責任に対する抗弁や制限については規定されていません。同法令が定める「船主」には、船舶の所有者、賃借人(lessee)、船舶代理人、運航者が含まれます。同法令の下では、総トン数が150トンを超えるタンカー並びに400トンを超えるその他船舶は同法令で定める海上汚染に対する賠償責任を担保する保険の付保又は保証の手配が求められています。また、同法令は被害者に対して保険者や保証人に直接損害賠償を請求する権利を付与しています。環境保護局が2001年9月に公布した同法令の施行規則には、手配すべき保証の形態は詳述されていますが、もう一方の賠償責任保険については詳細規定がありません。また、施行規則には罰金や禁固刑を含む各種罰則も定められています。

同法令の適用区域は台湾の排他的経済水域(EEZ)まで及びます。

去る2004年8月5日、環境保護局は強制保険や保証の手配に関する同法令の規定を発動させる回章を発行しました。

それによれば、手配を要求される賠償責任保険額あるいは保証額は以下のとおりと定められています。

1.150トン超のタンカー
・5,000トンまで:一律SDR4,510,000
・5,000トン超:最大SDR89,770,000を限度に、5,000トンを超える部分につき1トン当りSDR631を乗じた追加額を加算した合計額 

2.400トン超のその他船舶又は150トン超のケミカルタンカー
・1トン当りSDR400を乗じた額か、SDR350,000のいずれか大きい額

3.漁船、救助船
・1トン当りSDR200を乗じた額

上記保険の付保あるいは保証の手配は2005年7月1日より義務付けられます。

国際P&Iグループは、同グループ加盟クラブが提供している保険が同法令で義務付ける賠償責任保険として準用できるよう台湾政府と協議を続けています。協議は依然継続中ですが、先立って同種法令が施行された日本、オーストラリア、インド、米国カリフォルニア州やアラスカ州でのケース同様に、環境保護局が国際P&Iグループが発行した保険契約承諾書を適切な保険付保証明と認めて貰えるものと期待しています。また、当局は船主の準備期間として同法令施行に猶予期間を設けることを示唆しています。

当組合も国際P&Iグループの一員として、引き続き環境保護局との協議内容に注視し、進展がありしだい改めて組合員の皆さまにご報告させて頂きます。