ニュース

ブラジルの海洋汚染防止に関する法律について

2002/03/28 No.423
  • 外航
当組合法務代理人より上記法律について連絡がありましたのでご案内申し上げます。

『ブラジル連邦政府は2002年2月20日付で4.136法令を発布し、翌日より実施した。同法令は、2000年に制定された「油やその他の有害物質、危険物質の公海への流出に起因する汚染の防止、管理に関する規則(9966法)」の違反に対する制裁を明確にしたものである。

4.136法令(とりわけ船舶に関する部分)は上記規則に違反した場合、以下の当事者に責任があるとしている。


I.船主
II.船舶運航者
III.船長及び乗組員
IV.貨物所有者

規則違反を犯した船舶は管轄当局の裁量によって拘留され、罰金の支払い、 弁明の申し立て、そして損害の回復を約した保証状の提出によってのみ解放され得る。36ヶ月以内に繰り返し違法行為を行った場合は2倍の罰金を課される。

以下は上記法令(とくに船舶に関するもの)とそれぞれの罰則規定である。


  1. 貨物として油を輸送もしくは燃料油を積載している50GTを超える船舶で残留物処理設備への移動も含め、全ての油、油水混合物の移動についての最新の記録を付けたMarpol73/78承認のOil Record Bookを所持していない船舶: 罰金Hと不法行為が是正されるまでの船  
  2. 撒積み危険物もしくは有害物質を輸送する船舶でMarpol 73/78承認のCargo Record Bookを所持していない船舶:
    罰金Hと不法行為が是正されるまでの船  
  3. 油、有害物質、危険物質を運ぶ船舶でMarpol 73/78の添付 IIIに従ってそれらの貨物を識別、分類していない船舶:
    罰金Iと不法行為が是正されるまでの船  
  4. 有害物質、危険物質が正しく本船に積載、固縛されず、それらが本船上の他の貨物と不適切な積み合わせをされた場合:
    罰金Iと不法行為が是正されるまでの船  
  5. 有害物質、危険物質を運ぶ船舶で当該貨物が積載されている場所を正確に示す書類を所持していない船舶:
    罰金Hと不法行為が是正されるまでの船  
  6. 有害物質、危険物質の積載位置が正確に記入された書類の写しを所持していない代理店:
    罰金H  
  7. 油、有害物質、危険物質を輸送する船舶が海上管理規則に違反した場合、もしくは運送会社が運輸省に登録されていない場合: 罰金Iと運送会社の営業停止  
  8. 荷主が海上管理規則に違反する油、有害物質、危険物質の運送契約を締結した場合、又は運送会社が運輸省に登録されていない場合: 罰金I  
  9. 適切なCLC証書を所持していないCLC69条約の船舶:
    領海内の航行、滞在の  
  10. 船舶が油、バラスト水、タンク清掃残存物又は他の油の混入物を排出した場合:  
  11. Marpol73/78条約に規定されている以外の汚物の排出: 罰金A  
  12. プラスチック製品、合成物質、漁網等の投棄: 罰金E  
  13. 油の流出事故が法令通りに、港長、環境当局又は油関係当局に報告されない場合:罰金J

   罰金額(ブラジル通貨BR$1 = 約¥55)  
A.―1,000.00‐10,000,000.00 ( 約¥55,000 ~ ¥550,000,000)  
B.―1,000.00‐20,000,000.00 ( 〃 ~ ¥1,100,000,000)  
C.―1,000.00‐30,000,000.00 ( 〃 ~ ¥1,650,000,000)  
D.―1,000.00‐40,000,000.00 ( 〃 ~ ¥2,200,000,000)  
E.―1,000.00‐50,000,000.00 ( 〃 ~ ¥2,750,000,000)  
F.―7,000.00‐35,000.00 (約¥385,000 ~ ¥1,925,000)  
G.―7,000.00‐70,000.00 ( 〃 ~ ¥3,850,000)  
H.―7,000.00‐700,000.00 ( 〃~ ¥38,500,000)  
I.―7,000.00‐7,000,000.00 ( 〃 ~ ¥55,000,000)  
J.―7,000.00―1,000,000.00 (事故発生後、1時間毎BR$7,000.00加算)

考察:支払った罰金は当局の財源になるため、当局の取締りが活発となり厳しい管理につながることが予測される。』