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第608回理事会結果のご報告

2021/11/17 第21-009号

組合員各位


2021年11月17日に東京で当組合の第608回理事会が開催されました。主要な決議内容を下記のとおりご報告申し上げます。

 

 

 

はじめに

当組合には本年9月30日時点で内外航あわせて4,022隻9,462万トンの船舶にご加入いただいており、組合員各位のご支援に感謝申し上げます。

 

2021保険年度のクレーム傾向については、外航船保険、内航船保険ともに上半期にクレーム金額が例年以上の水準となっており、予断を許さない状況にあります。また、国際P&Iグループ(IG)全体のプールクレームも2021保険年度は過去最悪のレベルで推移しています。

 

このようなクレーム状況の中で、2022保険年度の保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率について、組合員を取り巻く事業環境、保険事業収支バランス等の各要素を慎重に考慮し、以下のとおり決定いたしました。何卒格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

理事会主要決定事項

  1. 2022保険年度保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率

各保険種目の来年度保険料率等について以下のとおり決議されました。

 

(1) 外航船保険

保険年度

当初予想

追加保険料率

お支払い済み
追加保険料率

今回決定

精算保険料

2018

40%

40%

クローズ

クローズ

2019

40%

40%

追加徴収予想0%とし継続

5%

2020

40%

0%

40%相当額を2022年1月31日までにお支払いいただく

5%

2021

40%

-

徴収予想40%のままで継続

45%

2022

40%

-

10%のGeneral Increaseを行います

45%

 

詳細は以下のとおりです。

 

2022保険年度 保険料率

外航船保険の保険料率については 10%のGeneral Increaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整に加え、国際P&Iグループ再保険コストに変動がある場合はそれに応じた調整を行います。

 

予想追加保険料率は前払保険料に対し40%、精算保険料率(*)は45%といたします。

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2018保険年度

当初予想していた40%の追加保険料のうち40%を2020年1月にお支払いいただいており、これ以上のご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2019保険年度

当該保険年度の前払保険料に対して、当初予想していた40%の追加保険料のうち40%を2021年1月にお支払いいただきました。今後大幅な変動はない見込みであることから、予想追加保険料率を0%、精算保険料率を5%のままオープンといたします。

 

2020保険年度

現況

当該保険年度の保険成績は当初の見込みより悪い状況ではあるものの、今後大幅な変動はないものと見込まれます。

 

徴収率

当該保険年度の追加保険料は前払保険料に対して40%の追加保険料のご負担をご予定いただいています。現況を考慮して、予定どおり40%の追加保険料をご負担願うことといたします。これにより、予想追加保険料率を0%および精算保険料率を5%へと変更いたします。

 

追加保険料の支払期日

前述の追加保険料を、2022年1月31日(月)を支払期日としてお支払いいただきます。

 

2021保険年度

当該保険年度の予想追加保険料率を40%、精算保険料率を45%のままといたします。

 

保険成績表の変更

外航船保険の保険契約更改用の保険成績を以下のとおり変更します。

これまでGross Loss Ratio方式(収受した保険料と発生保険金の単純な比率)としていましたが、他クラブで主流となっているNet Loss Ratio方式にこの度変更します。これに伴い、保険成績参入期間も現行の「過去5年プラス現行年度上半期」(5.5年間)から「過去6年プラス現行年度」(現行年度は参考)に変更します。

Net Loss Ratio方式では、IG再保険料コスト、Pool分担コストおよびアベイトメントコストが加味されます。アベイトメントとは、これまでも相互保険の精神に基づき巨損事故の保険金の一部を全契約で分担していたものを、その分担方法を明示する制度です。各種コストを明確にすることにより、組合員の保険料負担の透明性を高めることが期待されます。新方式の詳細につきましては別途ご案内申し上げます。

なお、外航船保険以外の保険種目についてはこれまでどおりの過去5.5年間分のGross Loss Ratio方式を引き続き採用します。

 

(2)用船者責任保険特約

2022保険年度 保険料率

用船者責任保険特約の保険料率については10%のGeneral Increaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整を行います。

 

(3)FD&D 特約

2022保険年度 保険料率

FD&D 特約の保険料率については10%のGeneral Increaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整を行います。

 

予想追加保険料率は前払保険料に対し20%、精算保険料率(*)は25%といたします。

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2018保険年度

当初予想していた 20%の追加保険料は、ご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2019保険年度

当該年度の予想追加保険料率を20%、精算保険料率を25%のまま据え置くことといたします。

 

2020保険年度

当該年度の予想追加保険料率を20%、精算保険料率を25%のまま据え置くことといたします。

 

2021保険年度

当該年度の予想追加保険料率は20%、精算保険料率は25%のままといたします。

 

✱上記外航船保険と FD&D特約の精算保険料は、保険料リスク、支払備金リスク、超大型事故リスク、市場リスク、取引先リスク、事業リスクなどを総合的に勘案し、各保険年度の予想追加保険料の徴収率に対して一律5ポイント加算した割合を設定しています。

 

(4) 内航船保険

2022保険年度 保険料率

内航船保険の保険料率を10%引き上げます。ただし、ハーバータグについては5%の引き上げとします。また、各組合員の保険成績などによる調整を行います。なお、保険成績による保険料の割増調整率を一部引き上げます。

 

標準免責金額を以下のとおり引き上げます。

 

船員に関するクレーム: 一事故あたり 50,000円 (変更なし)
積荷に関するクレーム: 一航海あたり 750,000円 (現行500,000円)
上記以外のクレーム: 一事故あたり 200,000円 (現行100,000円)

 

2022保険年度から「海事サイバーリスク特別条項」が適用され、サイバーリスクが除外されます。

 

 

  1. 休航による返戻保険料

外航船保険、用船者責任保険および内航船保険については、積荷を積載せず、同一の安全な港または場所で引続き30日以上(開始の日から終了の日までの日数から1日を控除した日数)休航した場合は、日割り保険料に一定の返戻率を乗じた金額を返戻いたします。返戻率につきましては以下のとおりとします。

 

1) 船員を配乗したままで休航した場合 40%(変更なし)
2) 船員(保安要員を除く)を配乗しないで休航した場合 40%(変更なし)

 

 

  1. Mutual Premium方式移行について

本件は、昨年12月2日に開催された第605回理事会にて導入に向け引き続き検討することとなっていましたが、今回の理事会にて、2023保険年度より外航船保険とFD&D特約を対象として実施することが決まりました。詳細につきましては別途ご案内申し上げます。

 

 

  1. 保険契約規程一部変更

2022年2月20日より以下の規定の一部を変更することが決議されました。

 

第1条(保険契約の締結)第10項新設

保険契約の締結に際して、特定の事由に該当する場合には引受けを拒否できる旨の規定を設けるもの。

 

第8条(保険料の払込みを延滞した組合員に対する措置)第3条第3項新設

未収保険料の弁済の充当に関して、支払期日が先に到来するものを優先的に充当する旨明文化するもの。

 

第10条(保険契約の継続)冒頭部分及び第4号変更

保険期間の満了に際し、翌保険期間の契約条件について合意に至らなかった場合には保険契約は継続されない旨のただし書きを加えるとともに、組合が保険契約の継続を拒否する正当な理由の例示を明記するもの。

 

第15条(共同契約)第6項変更

規定の趣旨を明確にするための文言の整理。

 

第21条(船員及び船客以外の人に関する責任及び費用)第1項第1号及び第3号変更

規定の趣旨を明確にするための文言の整理。

 

第24条(財物等に関する責任及び費用)冒頭変更

組合が事前に承認していない契約上の責任は本条によるてん補の対象にならないことを明確にするもの。

 

第29条(積荷に関する責任及び費用)

規定の趣旨を明確にするための文言の整理。

 

第32条(責任防衛等の費用)冒頭変更

文言の整理。

 

第35条(一般除外規定)第1項第13号変更

国際P&Iグループ・プール協定の改定に合わせた規定の改定。油又はガスの生産・探査に関わる宿泊施設としての加入船舶上の船員以外の人に関する責任及び費用については、従前は生産・探査施設からの距離をプールクレーム対象可否の判断基準としていたが、今般、組合員と第三者間の契約内容を基準とすることになり、それに伴い規定を改定するもの。

 

 

なお、変更内容の詳細につきましては、2022年2月上旬に発行予定の特別回報にて改めてご案内申し上げます。

以上

日本船主責任相互保険組合

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