シエラレオネ-微粉鉄鉱石輸送と固体ばら積み貨物輸送の液状化リスク
シエラレオネからの微粉鉄鉱石(Iron Ore Fines)
特定の積出港からの鉱石輸送に起因するリスク(貨物の液状化の可能性および積載港での規制監督による見落としを含む)についての以前の回報をご参照ください。微粉鉄鉱石輸送リスクへの懸念が高まっていて、特にシエラレオネ地域の鉄鉱山の段階的な再開により、同国ペペル港で微粉鉄鉱石貨物を積載し輸送する船のリスクが懸念されています。
国際P&Iグループ(IG)では、ペペル港から出荷予定の微粉鉄鉱石貨物の一部が長期間、覆いのない状態で屋外に野積みされていて、雨季には液状化リスクに晒されていること、また、ペペル港から出荷予定の貨物の一部は、これまでは輸出用としては品質が低すぎると考えられ、長期間覆いのない状態で野積みされていたことを把握しています。現在、そのような貨物が輸出用として、より高品質の素材とブレンドされるようになっています。
ペペル港からの微粉鉄鉱石に多く水分が含まれていた場合、液状化リスクがありますのでご注意ください。特に水分含有量14%超で輸送された場合、液状化リスクは大きくなります。この地域の微粉鉄鉱石の水分含有量は、雨季には通常13%から16%となります。さらに乾季には野積みされた貨物の上面は比較的乾燥しているように見えますが、深層部分は全体的に湿っています。したがって、荷送人が慎重に監視し、野積みされた水分の除去が必要な貨物を識別し、安全に輸送できる貨物から分離することが大切です。
また、荷送人がペペル港からの微粉鉄鉱石貨物用に提出する申告書およびテスト証明書には、これまで不審点や矛盾点があったことにも留意ください。これは一部の荷送人が、積載貨物の安全特性を適切に評価または理解していないことを示唆しています。そのような貨物のチェックテスト(缶テスト)も、正しく判断されない場合は誤った結果が提示されることもあります。缶内の表面水の存在の有無を、貨物の積載を許可する唯一の根拠として使用すべきでないことに注意が必要です。
したがって、シエラレオネのペペル港から微粉鉄鉱石貨物を積載する組合員は、荷送人から出荷のために提出される、貨物の物理的および化学的特性に関する最新で有効かつ正確な情報を入手することが不可欠です。液状化する可能性のある貨物の含水率と輸送可能な水分制限をテストおよび分析するための要件と手順が遵守されていることを確認するのは、荷送人の責任です。荷送人と船長の両方の責任については、以前の回報をご参照ください。
書類の不一致や懸念を早期に特定することが、荷積み前にタイムリーに解決策を講じ、遅延を最小限に抑える鍵となります。適切なタイミングで問題に対処するため、組合員におかれましては積載のかなり前に荷送人の申告書とテスト証明書を受け取るようにしてください。シエラレオネのペペル港における微粉鉄鉱石貨物の積載の際に懸念がある場合はクラブへご相談ください。
固体ばら積み貨物輸送の液状化リスク
鉱石貨物の液状化は他の輸出港でも大きな懸念事項であり続けています。組合員は、特定の積出港からの鉱石貨物の液状化によって生じるリスクと、そのような輸送貨物の積載時に取るべき対策について、以下の回報をご参照ください。
船長は、安全で規則に準拠した貨物のみの積載を許可するというIMSBC Codeに基づく義務を認識し、組合員は、荷送人によって申告された貨物グループに関係なく、微粒子を含むすべての貨物について、2011年2月1日付特別回報第10-026号に記載されている「推奨される予防措置(recommended precautions)」に従わなければなりません。
また、組合員には、2012年6月1日付特別回報第12-005号の「事前通知義務(notification requirements)」の順守をお願いいたします。インドネシアやフィリピンの港からニッケル鉱石を積み込むために船の成約または用船を予定している場合、または本船がそのような貨物積載の指示を受けた場合、できるだけ早くクラブへご連絡ください。
ご懸念がある場合は、当組合へご連絡ください。
国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。
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