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メキシコ-違法麻薬の密輸-船舶拘留・乗組員拘束のリスク

2020/05/12 第20-003号

国際P&Iグループ、ICS(国際海運会議所)、BIMCO(ボルチック国際海運協議会)、InterManager(国際船舶管理者協会)[以下、「国際業界団体」と記載] は、最近メキシコにおいて船舶や乗組員が拘束を受けるケースが複数発生していることについて、組合員の皆さまへ注意喚起いたします。UBC Savannah号においては、本船上で違法麻薬が発見された後、船長が拘束され、正式に起訴されないまま拘留が長期間に及んでいます。

 

2019年7月以降、国際業界団体は、主にエクアドル・コロンビア・パナマを出発した船舶がメキシコの港(特にAltamiraとEnsenada港)へ到着した際、本船上で違法麻薬が発見され、船舶が拘束されたというケースを多数確認しています。乗組員が船上で違法麻薬を発見し、メキシコの港に到着する前に現地当局へ速やかに報告した場合にもかかわらず、船舶が拘留・乗組員が拘束されたケースもあります。

 

国際業界団体は、メキシコが違法麻薬の密売によって被っている損害や、刑法のもと全力を挙げて違反者を起訴し、この犯罪行為を抑制・阻止する必要性を十分理解していますが、一方で、正当な根拠のない船舶の拘留や乗組員の拘束、長期間に及ぶ可能性のある拘置所への収監のリスクは無視されるべきではありません。

 

この点につき、メキシコの連邦刑事訴訟法は、薬物関連の犯罪で告発された者がたとえ無実であったとしても公判前および公判中の間は拘置所に収監しなければならないとしていることに留意する必要があります。メキシコにおける公判前および公判期間中の船舶拘留と乗組員拘束は長期化する可能性があり、新型コロナウイルス感染症の影響でさらに長引くことも考えられます。

 

国際業界団体は、同法が明らかに見境なく適用されていることや検察官による船舶・乗組員の拘留という不釣り合いな対応について、既にメキシコ政府に対し深刻な懸念を表明しています。国際業界団体は、UBC Savannah号の船長や現在拘留されている船舶をともに解放するために、メキシコの関係当局と協議しています。

 

特に南米の港における積荷役前、メキシコへの到着前に、船舶が取るべき具体的な予防策について疑問がある場合は、クラブにお問い合わせください。

 

国際P&Iグループのすべてのクラブ、ICS、BIMCOならびにInterManagerが同様の回章を発行しています。