中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」について(その18)
題記の件に関し、2015年6月1日付特別回報第15-003号「中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」について(その17)」ならびにその他関連特別回報をご参照ください。
前回までの特別回報にて、中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」の内容をご案内するとともに、a)汚染危険貨物をばら積みで輸送する船舶と、b)10,000総トン以上のその他全ての船舶の船主/オペレーターは、中国に入港する前、もしくは中国沿岸から20海里以内の港外で積荷役、揚荷役、STSを行う前に、油濁対応業者(SPRO)と油濁対応契約を締結することが要求されることをご案内しました。
今般、中国海事局(Maritime Safety Agency、MSA)は、船舶油濁対応体制の管理に関する新たな規則を公表しました。当該新規則は2020年3月1日に発効予定です。また、MSAは当該新規則とともに「油濁の原因となる危険ばら積み液体貨物に関する規則書」(規則書)を発行しました。規則書の対象となる貨物を積載する場合は、オイルブームを荷役中配置するかSPROと契約することが必要となります。国際P&Iグループ(IG)では、現在のCOVID-19(新型コロナウィルス)の流行を受けて新規則の発効が延期されることはないかMSAに確認しましたが、2020年3月1日発効で変更ないとのことです。
添付1 のSPROレベル表をご参照ください。今般の新規則発行にともない、SPROとの契約締結義務について大きな変更は生じません。ただし、2020年3月1日以降、以下の船舶はSPROとの契約が不要となります。
- 空船もしくは規則書に記載のないばら積み液体貨物を積載している10,000総トン未満の船舶
- ばら積みではない液体貨物を積載しているクリーン燃料を使用する船舶
なお、オイルブームは、規則書に記載されている貨物を300mt以上、積荷、揚荷、移送する場合にのみ必要となります。
この新しい措置に伴い、今後MSAはSPROとの推奨契約書を用意せず、当事者ですべての条件を自由に交渉可能としています。また、中国潜水および救助協会(CDSA)の下で、SPROを訓練し査定する責任を負い、SPROの能力と契約条件に関するデータベースを作成する新たな委員会が設置されました。ただし、同委員会は未だ発足したばかりであるため、当面の間は従前よりご案内しているとおり、中国諸港でのSPRO選定に際しては必要に応じて現地代理店、MSA、当組合にご確認ください。
また、以下についてもご案内申し上げます。
- 本船が入出港または作業する港に、本船に必要なレベルのSPROが存在しない場合、SPROとの契約は不要です。
- 緊急待機義務を怠ったSPROがいた場合、船主はMSAに報告することが義務付けられています。
- 船主は中国領海内での油濁事故についてMSAに報告することが義務付けられています。
IGでは今回の措置に伴いIG推奨SPRO契約書の文言を精査し、引き続き添付2のIG推奨契約書を使用することをお勧めします。今後、CDSAとの協議を含め契約書文言に変更が生じた際にはご案内申し上げます。新たにSPROと契約をする際には、SPROから料金タリフ(必要に応じて当組合にてチェックさせていただきます)の提示を受け確認されることをお勧めします。
IGではCDSAの動きを含め状況をモニターし、組合員の皆さまに進展を適宜ご案内します。添付2のIG推奨SPRO契約書と異なる文言での契約締結を求められた場合には、IGガイドラインに沿ったものになっているかどうか当組合にご確認ください。
契約書および料金タリフについて疑問点がある場合には、契約締結前に当組合にご相談ください。
IGの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。
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