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アデン湾周辺海域の航行情報 - 海上警備航路帯の設置について

2017/09/12 No.920
  • 外航

題記の件に関し、合同海上部隊(Combined Maritime Forces 以下、CMF)から最新のガイダンスが発行されましたので、以下の当組合要訳とともにご参考に供します。当該海域の航行につきましては、本ガイダンスに加え関係機関からの最新情報を入手の上、航行することをお勧めいたします。


 要  訳

海上警備航路帯について(2017年9月6日)

アデン湾(Gulf of Aden)、バブ・エル・マンデブ海峡(Bab Al Mandeb)、紅海南部の通航に関し、CMFからの情報は以下のとおり。なお、この出状は従前のガイダンスを置き換えるものではない。


アデン湾及びバブ・エル・マンデブ海峡を通航する商船に対し最近発生した海賊行為から、当該海域の航行に伴う危険性が明らかになった。様々な危険と攻撃の恐れのあるこの広い海域では、海軍力(艦艇やヘリなど)が可能な限り最も効果的に活用されなければならない。商船の安全な航行への支援として、CMFは海上警備航路帯(Maritime Security Transit Corridor  以下、MSTC)を設定している。


MSTCの範囲は次のとおり。

【国際推奨航路帯(The Internationally Recommended Transit Corridor 以下、IRTC)】
国際推奨航路帯(TRTC)

 

【バブ・エル・マンデブ通航分離帯(BAM TSS)及びハミッシュ群島西側の通航分離帯】
BAM TTS及びハミッシュ群島西側の通航分離帯

【拡大図】
拡大図:BAM TSS及びハミッシュ群島西側の通航分離帯


【IRTCとBAM TSSを直接結ぶ双方向ルート】

IRTCとBAM TSSを直接結ぶ双方向ルート

【拡大図】
拡大図:IRTCとBAM TSSを直接結ぶ双方向ルート

これらの海域を組み合わせた全体をMSTCと呼ぶ。この航路帯の目的は、海軍がその存在を示し監視活動を行う商船向けの推奨航行ルートを提供することである。軍の存在と監視の恩恵を受けるために、全ての船舶がMSTCを利用することが推奨される。


MSTCの形成は、グループトランジット(船団航行)もしくはIRTCでのエスコート(護衛船団)による航行の利用や時期には影響しない。従前同様に、これらは引き続き計画及び実施される。


当該海域の航行にあたり、入念な計画と入手可能なあらゆる情報の活用が必要である。海上における脅威情勢はダイナミックであり、航行に伴う危険は一定ではないからである。そのため、船長、船舶保安管理者及び船舶保安統括者は、各地域への各航海と各地域内の活動について、詳細なリスク分析を行うことが重要である。


アデン湾およびバブ・エル・マンデブ海峡を通航するすべての船舶は、可能な限りBMP4のガイダンスに従い、武装した警護員の使用を検討すべきである。2017年に発生した最近の海賊による攻撃では、このガイダンスを遵守することの重要性が注目された。


このガイダンスは命令ではない。IRTC、MSTC、BMP4、武装警備、通航時間の変更、またはその他の防衛方法の利用については、本船オペレーターが独自のリスク分析と旗国の要件に基づいて決定することである。


注釈:

合同海上部隊(Combined Maritime Forces [CMF])とは2002年に創設された多国籍の海軍からなるパートナーシップであり、世界の最も重要な海上輸送路を網羅する約320万平方キロメートルにわたる国際水域の安全、安定、繁栄を促進するために存在している。 CMFが主に注力している分野は、テロの撲滅、海賊行為の防止、地域協力の促進、安全な海洋環境の促進である。