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2006年STOPIA協定(2017年改正)および2006年TOPIA協定(2017年改正)について

2017/02/20 第16-021号
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背景

 

小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)とタンカー油濁補償協定(TOPIA)は、成功裏に機能している国際油濁補償制度の継続を切望する、国際P&Iグループ(IG)加盟クラブ加入船主間で2006年に締結された自主協定です。当時は、特に2003年追加基金議定書(FUND Protocol 2003)の採択直後で、タンカーからの持続性油流出への対応費用については船主と油受取人(油社)とでより公平に負担すべきという風潮でした。

 

2006STOPIA協定は、29,548GT以下のタンカーからの油濁事故の場合に、CLC条約に関する1992年の議定書(92CLC)が規定する責任限度額を超える部分について賠償を行なった1992年基金(92Fund)に対して、船主が支払うことを規定しています。2006TOPIA協定は、FUND Protocol 2003の締約国のタンカーによる油濁損害について、同Protocolの下で賠償した追加基金に対し、その賠償額の50%を船主が支払う旨規定しています。

 

これまで、STOPIA発動ケースは1件のみで、(追加基金が発動したケースがないことから)TOPIA発動ケースはありません。

 

両協定ともに再調査に関する同一の条文を有しており、同条文は2006220日(両協定の発効日)から2016220日までの期間に92CLCの下で発生したクレームデータと92Fundが支払ったクレームデータを再調査する旨を規定しています。

 

STOPIATOPIAの再調査について

 

IGは(油受取人(油社)側を代理する)92Fund事務局と石油会社国際海事評議会(OCIMF)とともに、当該再調査を2016年初めより開始しました。

 

再調査の結果、この10年間に当該システムの下で船主が支払ったクレーム合計額の方が油受取人(油社)が支払ったクレーム合計額よりもはるかに大きいことが判明しました。両協定には、船主と油受取人(油社)の負担額に不均衡が生じた場合、両者で精算できる旨の条文が含まれています。しかし、船主を代表する関連団体(国際海運会議所 (ICS)INTERTANKO)と協議した結果、IGは負担額の不均衡を調整するために両協定上認められている手段を今回は講じないこととしました。IGは、“HEBEI SPIRIT”号のケースで92Fundが負担することになる全額は10年後の再調査の対象となり、今回収集されたデータには完全には反映されていないと認識しています。同ケースでの予想支払額を考慮に入れると、船主と油受取人(油社)の負担額はより均衡してきます。ただしIGは将来の再調査において負担額の不均衡が判明した場合には、その調整を求める権利を留保しています。

 

STOPIATOPIAの改正

 

今般の再調査の期間中に、両協定に関し、制裁に関する条文を導入すること、また、今後の再調査の対象期間とデータ検証方法を変更することが合意されました。これらの修正の目的は次の通りです。

    1)船主や保険者による支払が制裁対象となる立法がなされた結果、船主やIG加盟クラブが92Fundや追加基金に対して両協定に基づく支払をやむを得ずできない場合に、船主やIG加盟クラブを保護すること。
    2)今後の再調査に関し、クレームデータの対象期間を(現行の両協定の規定による)5年毎ではなく、10年毎とすること。
    3)今後の再調査では、単に当該再調査対象期間のみのクレームデータではなく、両協定が発効した2006年当初からの累積データで検証すること。

 改正された協定は本回報の添付の通りで、名称は「2006STOPIA協定(2017年改正)」および「2006TOPIA協定(2017年改正)」です。

 

国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回報を発行しています。