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小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)について(その2)

2005/02/25 第04-016号
  • 内航
  • 外航
2004年11月29日付P&I特別回報第04-012号「小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)について」をご参照ください。同P&I特別回報でご説明申し上げた内容に加え、来る2005年3月3日からのSTOPIA協定の実施に関し、以下のとおりご案内申し上げます。

1.追加基金議定書の発効
1992年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の2003年の議定書(これまで「追加補償基金議定書」または「3rd Tier議定書」と称してきましたが、今後は「船舶油濁損害賠償保障法」に倣い「追加基金議定書」と表記します。)が2005年3月3日に発効し、デンマーク・フィンランド・フランス・ドイツ・アイルランド・日本・ノルウェー・スペインの8締約国において施行されることとなります。今後更なる批准国の出現が予想されています。

追加基金議定書は、タンカーから流出した油による汚染損害に関し、1992年責任条約(92CLC)及び1992年基金条約(92FC)による補償が十分でない場合に補償を行なう追加的な補償(3rd TierCompensation)を提供することを目的とし、2003年5月に採択されたものです。

2.STOPIAの実施
上記1.の追加基金議定書の発効と同時に、STOPIA協定が実施されることとなります。

STOPIAとは、2001年に追加基金議定書が起草された際、すべての国際P&Iグループ(IG)クラブの理事会の承認を得て、92CLCにおける船主責任の最低限度額を引き上げる民間自主協定として、以下を目的として立案されたものです。

    • 船社としてCLC/FC両条約により確立された補償制度を支持する姿勢を明確にすること
    • 追加基金議定書により油受取人に課せられる潜在的追加負担を勘案のうえ、船社/油社間による補償分担の考え方を維持するとの明確な態度表明を行なうこと
    • CLC/FC条約改定の必要性を回避すること

本協定を実施するにあたり、以下3.と4.に記載する2つの協定書/覚書が策定されました。

3.STOPIA協定書
STOPIA協定書の全文は、添付資料1.をご参照願います。前述のP&I特別回報第04-012号で同協定の内容はご説明申し上げておりますが、その骨子は以下のとおりです。

    • 29,548G/T以下のタンカーが追加基金議定書締約国で起こした油濁損害に関して、92CLC上の船主責任を自主的に20百万SDRまで引き上げること
    • 船主は、1992年基金が支払った補償額のうち、92CLC責任限度額を超過する部分について、補償総額(含92CLC)20百万SDRを限度として同基金に補償すること
    • タンカー船主の責任に関する92CLCの条項への実質的改変がなされた場合、船主とクラブは同協定を終了する権利を有していること

4.IGクラブ/1992年基金間の覚書(MoU)追加条項
覚書追加条項の全文は、添付資料2.をご参照願います。本条項は、IGクラブと92年基金との間に長年にわたり交わされている覚書に追加条項として挿入されるものです(現在同基金総会の承認待ち)。これら新条項には、組合員がSTOPIA協定の下で負う1992年基金に対する補償責任をクラブがてん補すること、及び当該リスクを引き受けているクラブに対する直接請求権の1992年基金への付与が定められています。また、クラブが1992年基金に対して、油濁カバー提供の条件としてSTOPIA対象船舶の同協定への自動加入を規定すること、及び対象船舶の全船名を同基金に通知することを約束しています。

5.STOPIA対象船舶の取り扱い
1)   外航船
以上より、2005年3月3日を以って、積荷として持続性油を積載する29,548G/T以下の外航(保険金額の定めのない保険契約)タンカーを所有する組合員は、STOPIA特別条項によってSTOPIAに参加することとなります。同協定のもとで負う組合員の新たな責任は、保険契約規定第25条及び各船の保険契約承諾証記載の条件に従っててん補されることになります。
2)   内航船
前述のP&I特別回報第04-012号でご案内申し上げておりましたとおり、IGプール協定を通じて再保険手配されていない当組合内航船は、STOPIA協定の対象船に含めず、任意の参加資格を与えることで最終的に決定しました。よって、内航タンカーのSTOPIAへの自動加入は見送られますが、現行油濁補償制度の維持・安定という同協定創設の趣旨をご理解のうえ、できる限り多くの内航タンカー組合員のSTOPIAへのご参加をお願い申し上げます。

6.STOPIA用船契約条項
用船者からSTOPIA対象船舶の船主に対して用船契約上同協定への加入を要求されることが予想されます。IGが推奨する用船契約条項は、添付資料3.をご参照願います。

添付資料:   1. 小型タンカー油濁補償協定書(STOPIA)試訳
2. STOPIA−クラブと1992年基金の間の覚書(MoU)の追加条項 試訳
3. IG推奨「STOPIA用船契約条項」 試訳
4. グラフ「92CLC/92FC/追加基金/STOPIAの補償額」
※ 資料1. 2.及び3.の原文は、P&I特別回報(英文版)の添付資料をご利用ください。