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イラン制裁緩和期間の再延長について

2014/11/27 第14-012号
  • 外航

本回報は2014年7月28日付特別回報第14-007号並びにその他の関連特別回報と併せてお読み下さい。


これまでの経緯として、2013年11月24日に共同行動計画(Joint Plan of Action)がP5+1(中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国)とイランとの間で合意され、同計画に基づきイランが核プログラムに関する合意事項を実施することと引き換えにイランに対する特定の制裁が一時的に停止されました。


イランの核プログラムについて長期的な包括的合意には至らなかったものの、2014年11月24日にイラン制裁の一時停止が継続されることが報道されました。2014年11月25日にEUはプレスリリース及びEU理事会決議2014/829/CFSPにて一時的制裁停止措置は2015年6月30日まで延長されることを発表しました。また、米国は同日付でガイダンスを発行し一時的制裁停止措置の2015年6月30日までの延長を発表しました。


共同行動計画で合意された制裁緩和措置の一つが、イラン産原油及び石油化学製品の輸入、購入、輸送に関する保険提供の容認です。但し、当該制裁一時停止措置が2015年6月30日以降も継続される保証はありません。従って、2015年6月30日以降に制裁が再発動される可能性がありますので、関連の契約は同日までに完了する必要があります。


なお、共同行動計画に基づく一時緩和措置の対象となっていないその他の制裁措置は引き続き有効です。


また、制裁一時停止期間中の保険提供の取り扱いに関してEUと米国とで相違があり、これにより制裁の一時停止措置はほとんど効果がないものとなっています。米国は共同行動計画に基づく制裁一時停止期間中に生じた損害に対する保険金は2015年6月30日以降も支払い可能としています。一方、この点につきEUは態度を明確にしていません。従って、制裁一時停止期間中に生じた事故に関して2015年6月30日以降に保険金の支払いを行った場合、EUの制裁措置違反となる可能性があります。国際P&Iグループ(IG)ではこの点についてEUに確認を行っています。


さらに、米国人及び米国人が所有/管理する外国企業は、OFAC(米国財務省外国資産管理局)によるライセンスがない限り共同行動計画に基づき容認される取引であってもイランとの取引を実施することは基本的に禁止されます。


上記より、制裁違反になる可能性がある取引を行う場合には慎重に行動し、疑義がある場合には当組合までご相談下さい。