Marpol Annex Vにおける貨物残渣の海洋投棄について
| 廃棄物の種類 | 特別エリア外船舶 | 特別エリア内船舶 | 洋上プラットフォーム及び当該プラットフォームから500メートル以内の船舶 | 
| あらゆる廃棄物及び特にプラスチック(合繊ロープ、合繊漁網、プラスチックごみ袋、プラスチック製品の焼却灰を含む-Regulation 3.2)並びに料理油(Regulation 3.3) | 海洋投棄禁止 | 海洋投棄禁止 | 海洋投棄禁止 | 
有害性が低いと考えられる特定の廃棄物については特別の例外が規定されています。例外が適用されるかどうかは地理的エリアによります。あるエリアはより環境にセンシティブとみなされています。特別エリアの詳細な地理的特定(緯度/経度)については添付1をご参照下さい。
| Annex Vにおける特別エリア外 | Annex Vにおける特別エリア | 
| 右記以外のエリア | 地中海 エリア(Regulation 1, 14.1) バルト海エリア(Regulation 1, 14.2) 黒海エリア(Regulation 1, 14.3) 紅海エリア(Regulation 1, 14.4) ガルフエリア(Regulation 1, 14.5) 北海エリア(Regulation 1, 14.6) カリブエリア (メキシコ湾及びカリブ海を含む) (Regulation 1, 14.8) 南極エリア (南緯60°以南。Regulation 1, 14.7)については別途追加規定あり※。 | 
※南極エリアに関する追加要求:当該エリアに寄港、通航、出航する船舶がいる港の締約国は当該船舶に対して適切な廃棄物受入れ設備を提供しなければならない。当該エリアに入域する前に船舶が全ての廃棄物を十分に保管できることを旗国は確認しなければならない。
以下の廃棄物については地理的エリアによっては海洋投棄可能な場合があります。
| 廃棄物の種類 |  Regulation 4: (特別エリアの定義については上記ご参照) |  Regulation 6: (特別エリアの定義については上記ご参照) | 洋上プラットフォーム及び当該プラットフォームから500メートル以内の全船舶 (Regulation 5) | 
| 食物廃棄物 (粉砕装置で粉砕され25mmより小さい穴のふるいを通過できるもの) |  海洋投棄可能 (Regulation 4, 1.1) |  海洋投棄可能 南極エリア (Regulation 6, 1.1) |  海洋投棄可能 (Regulation 5, 2) | 
| 食物廃棄物 (粉砕されていないもの) |  海洋投棄可能 (Regulation 4, 1.2) | 海洋投棄禁止 (Regulation 6, 1.1) | 海洋投棄禁止 (Regulation 5, 1) | 
| 貨物残渣 (通常利用可能な揚荷手段を使って回収できないもので海洋環境に無害なもの) (貨物残渣の定義については下記3をご参照) |  海洋投棄可能 (Regulation 4, 1.3) (有害貨物かどうかの分類については下記3をご参照) | 特定の状況でのみ※※、(貨物残渣を含む)貨物倉洗浄水だけ海洋投棄可能 (Regulation 6, 1.2) (有害貨物かどうかの分類については下記3をご参照) | 海洋投棄禁止 (Regulation 5, 1) | 
| 洗剤及び添加物 (貨物倉、甲板、船体の洗浄水に含まれるもので、海洋環境に無害なもの) | 海洋投棄可能 (Regulation 4, 2) | 海洋投棄可能 (Regulation 6, 2) | 海洋投棄禁止 (Regulation 5, 1) | 
| 動物の死体 (貨物として輸送され航海中に死亡したもの) |  海洋投棄可能 (Regulation 4, 1.4) | 海洋投棄禁止 | 海洋投棄禁止 (Regulation 5, 1) | 
| 混合廃棄物 (複数廃棄物が混在、混入しているもの) | 複数の混合物質のなかで、より厳しい方の要件が適用 (Regulation 4, 3) | 複数の混合物質のなかで、より厳しい方の要件が適用 (Regulation 6, 4) | 
・貨物倉洗浄水に含まれる貨物残渣、洗剤、添加物が海洋環境に有害な物質を含まないこと。
 ・出航から目的地までの航海に特別エリア外の航行が含まれないこと。
 ・寄港地に適当な処理施設が存在しないこと。
・船舶の安全確保もしくは海上での人命救助のために必要な排出である場合
 ・あらゆる妥当な事前注意を尽くしたにも関わらず船舶の損傷による廃棄物の偶発的な排出の場合
 ・あらゆる妥当な事前注意を尽くしたにも関わらず漁具の偶発的な排出の場合
 ・海洋環境の保護もしくは船舶や船員の安全のための船舶からの漁具の排出の場合
3.貨物残渣の海洋投棄:いかに改正Annex Vを遵守するか
上記より、単なる貨物の塵は貨物残渣に該当しませんが、それ以外の貨物に関係する物質は全て該当すると考えられます。
(粉砕、細断、浸軟されたもの、同種物質を含む)

サーキュラーは以下のリンクからダウンロードできます。
サーキュラーでは、有害固体ばら積み貨物を含む貨物倉洗浄水について以下を条件に特別エリア外で排出することを認めています。
- ・関係港湾当局からの情報に基づき、船長が当該港もしくは次港に適当な処理施設がないと判断した場合。
- ・航海中で領海の基線から少なくとも12海里以遠で可能な限り離れること。
- ・洗浄前に固体ばら積み貨物の残渣を可能な限り取り除き(取り除いたものは陸上での廃棄のため袋詰めすること)、貨物倉が清掃されていること。
- ・Bilge Wellsに残った固体残渣を回収するためにフィルターを使用し、固体残渣の排出を出来るだけ削減すること。
- ・排出は記録しておくこと。