中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」について(その13)
- 外航
題記の件に関し、2012年3月22日付特別回報第11-027号「中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則について」(その12)」をご参照下さい。
前回までの特別回報にて、中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」の内容をご案内するとともに、(a)汚染危険貨物をばら積みで輸送する船舶と(b)10,000総トン以上のその他全ての船舶の船主/オペレーターに対し、当該船舶が中華人民共和国(以下、中国)に入港する前に海事局(Maritime Safety Agency, MSA)認可の油濁清掃業者と油濁清掃契約を締結することが要求されることをお知らせしてきました。
2012年1月1日の当該規則の施行に先立ち、組合員には、新たな要求事項とともに、IG推奨油濁清掃契約書と海外のオペレーターを代理してエージェントが契約書にサインするために必要な委任状をご案内しました。その後、国際P&Iグループ(IG)の全クラブは、船主による規則遵守の一助となるよう一連のFAQsを発行し、また、MSA認可油濁清掃業者のリストをクラブのウェブサイトに掲載し、MSAから追加認可があるごとに更新してきました。
List_of_Approved_SPROs.pdf
本年9月14日に、MSAは従前出され本年1月1日に施行された船舶油濁対応の実施規則を改定する改定実施規則を発表しました。同時に、MSAは規則の実施に関する多数の通達を破棄したことから、本年1月1日以降実施されている油濁対応要求にいくつかの変更が生じることとなりました。近日中にMSAより新たな通達が出される見込みであり、同通達が出され次第、FAQsの改定版をご案内する予定です。
MSAは改定実施規則のAnnexで標準油濁対応契約書の改定版を出しています。改定標準契約書には2つの条項しかありませんが(どちらも強制適用とされています)、オペレーターと認可清掃業者との契約書の一部として追加条項を挿入できることが明記されています。これを受けて、IGでは改定推奨契約書を添付の通り作成しましたが、その内容は従前のものと実質的に変わりはありません。改定推奨契約書はMSAより発行された改定標準契約書に規定される2つの強制適用条項を含んだものとなっています。同強制適用条項では2つの新たな要求事項が含まれ、1つはShip to Ship作業を行っている間オイルブームを手配しておくこと、もう1つは共同で緊急対応訓練を実施することです(Article 2.4及び2.5)。IGはMSAと連絡を取っており、本特別回報に添付したIG推奨契約書改定版は改定実施規則に沿ったものとなっていると理解しています。
以前、船舶の事故対応計画書(Vessel Response Plans)に関して、各国で要求される契約条件とIGガイドラインに合致した契約条件についてご案内しました(2009年6月22日付特別回報第09-002号をご参照)。本特別回報に添付のIG推奨契約書改定版はIGガイドラインに沿ったものになっています。IG推奨契約書と異なる契約書を要求された場合には、IGガイドラインに沿っているかどうか確認する必要がありますので当組合までご相談下さい。
また、油濁清掃契約に関して疑問がある場合には、契約前に当組合にご相談頂くことをお勧め致します。
国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回章を発行しています。
添付:IG推奨契約書改定版