西アラスカAlternative Planning Criteria(APC)について
- 外航
1. 米国入出港のため西アラスカ地域を航行するタンカー船主及び「2次的貨物」註1として油を運送する船舶の船主に関る新規則
2012年5月14日より、西アラスカを航行する特定船舶は新たにAlternative Planning Criteria(APC)の遵守が米国Coast Guard(USCG)より要求されることになります。
かつて、西アラスカを航行するタンカーは、1990年米国油濁法(Oil Pollution Act 1990、OPA90)で要求される事故対応計画を完全に遵守することが不可能な状況にあったことから、USCGより規則の免除が認められていました(添付1の2009年8月12日付USCGのレターをご参照下さい)。その後、2010年にUSCGは規則の完全遵守、あるいは認可されたAPCの遵守を要求すると発表し、2011年5月にアラスカ海運集会所より新APCの提案が発表されました。今般、当該APCが完成し、米国入出港のために西アラスカの特定地域を航行するタンカー及び2次的貨物として油を運送する船舶の船主は、本年5月14日より発効する新規則を遵守することが求められます。対象となる地域は、クック湾とプリンス・ウィリアム湾の外側の西アラスカで、米国沿岸から200海里以内の地域です。
2. 新規則
新規則を遵守するためには、Alaska Maritime Prevention and Response Network(AMPRN)に加入し登録証(Certificate of Participation)を入手するとともに、油濁対応業者(OSRO)のAlaska Chaduxと契約をする必要があります。AMPRNの登録証及びAlaska Chaduxとの契約書は事故対応計画の一部となります。
2. Alaska Maritime Prevention and Response Network(AMPRN)
AMPRNは、APCで要求される必要な資材を調達しAPCの要求事項を充たせるようにするために設立された組織です。登録証の入手方法はAMPRNのウェブサイト(www.ak-mprn.org)でご確認頂けます。ご参考に申請書を添付致します(添付2)。AMPRNの費用はタンカーの場合1隻年間US$6,000、2次的貨物として油を輸送する船舶の場合1隻年間US$1,800です。
3. Alaska Chadux
Alaska Chaduxの契約書のコピーをご希望の方は、Mr. J Allen(jallen@chadux.com)にご連絡下さい。なお、同社の契約書は事故対応計画書に関する国際P&Iグループ(IG)ガイドラインに沿ったものではなく、同契約書の下生じる責任について通常のP&I保険では完全にはカバーされません。IGガイドラインについては2009年6月22日付当組合特別回報第09-002号「事故対応計画(VRP)-国際P&Iグループガイドライン/その後の動き」をご参照下さい。通常のP&I保険でカバーされない部分については追加保険を手配することも可能です。追加保険をご希望の組合員は当組合までご相談下さい。
また、USCGが本件に関してFAQs(Frequently Asked Questions)を発行しており、USCGのウェブサイトでご覧頂けるほか、同FAQsを本特別回報に添付致します(添付3)。
なお、タンカーが有効なInterim Operation Authorisation(IOA)を有している場合、当該IOAの有効期限が切れるまではAMPRNへの加入は必要ありません。
註1船種に関らず本来の貨物としてではなくばら積みで運送される油としてOPA90で定義されるもの、すなわち、本船での使用を目的とせずにある港から別の港へ貨物として運送される油。
正式な定義はAMPRNのウェブサイトに掲載されているFAQs(www.ak-mprn.org/resources/faq.php)をご確認下さい。
添付1: 2009年8月12日付USCGのレター
添付2:AMPRN Form
添付3:USCG FAQs