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OPRC-HNS議定書関連 − 日本での海防法の一部改正について

2008/05/07 第08-002号
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首題に関し、以下のとおりご案内申し上げます。

1.OPRC-HNS議定書

「2000年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書(以下、OPRC-HNS議定書という)」は、危険物質及び有害物質(以下、HNSという)を積載する船舶からの海洋汚染事故や脅威に対処する国際協力のための世界的枠組みを提供することを目的として、2000年3月に採択され、英国、日本などの批准 により2007年6月14日に発効しました。

OPRC-HNS議定書は、油による汚染事故への対応に関して規定した1995年発効の「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(以下、OPRC条約という)」と同じ理念に基づいています。

よって、OPRC条約と同様、OPRC-HNS議定書の下で、締約国にはHNS汚染事故に対する国内体制の構築及び国際協力の確立が、そして本船には同事故に関する緊急対応計画書の作成が求められています。

2.日本 − 海防法の一部改正

上記1.での要求を満たすため、日本では、2006年6月に「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(以下、海防法という)」の一部が改正され、国内体制の構築に関する部分は2007年4月1日より、また本船に関する部分は2008年4月1日より施行されました。

本改正法により、2008年4月1日から、HNS液体貨物(例:ガソリン、軽油、灯油、ベンゼン等)を積載する150総トン以上のタンカーは、同国内の特定海域(東京湾、伊勢湾、大阪湾を含む瀬戸内海)を航行するとき、HNS汚染損害の防除に必要な資機材及び要員を確保しておくことが義務付けられることとなりました。

3.海上災害防止センターとの契約

独立行政法人海上災害防止センター(以下、MDPCという)は、上記2.で要求される資機材及び要員の提供が可能であり、対象船舶は、実際のところ、本改正法を満たすべく、事前にMDPCと契約を締結することが必要となります。MDPC提供のサービス詳細は、同法人のウェブサイト(http://www.mdpc.or.jp/)をご参照願います。

海防法では、従来から、貨物として持続性油を積載するタンカーに対して、国内の特定水域を航行するとき、必要な防除資材の備付けを求めており、関係船主は、これらを調達できるよう事前にMDPCと契約を締結し、MDPCは実際に清掃業者として活動しています。

ただし、最新のMDPC契約書(HNSタンカー用)を国際P&Iグループ(IG)が審査した結果、主として「責任条項」部分が前項の契約書(油タンカー用)とは異なっており、IG策定の油濁清掃業者用ガイドラインに合致した内容ではないことが判明しました。

よって、IGがMDPCと本件について話し合いを行う時間的猶予を得るために、暫定的措置として、IG起用保険ブローカーを通じガイドラインを上回る責任をカバーする保険を別途手配致しましたのでご案内申し上げます。保険カバーの詳しい内容については、当組合事務局までご照会願います。