ニュース

CLC条約Blue Card発行−ガス運搬船(Gas Carrier)に関する件

2007/02/19 第06-013号
  • 外航
2007年1月15日付P&I特別回報第06-008号「CLC条約Blue Card発行−船舶所有者(Registered Owner)に限定の件」をご参照願います。今般、国際P&Iグループでは、ガス運搬船に関するCLC条約上のBlue Card発行に関しまして、以下のとおり合意、決定致しましたのでご案内申し上げます。

国際P&Iグループ加盟クラブは、1992年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(以下、CLC条約)に基づき、条約締約国がCLC証書を発行する際の根拠となるBlue Cardの主たる提供者であります。

CLC条約は、条約締約国籍を有し、かつ2,000トンを超えるばら積みの油を貨物として輸送する船舶の船舶所有者に対して、同条約の下で要求される保険カバーの締結を求めています。保険締結の事実は、P&Iクラブが発行するBlue Cardによって証明されます。該当CLCタンカーは、保険が効力を有していることを証するため締約国が発行するCLC証書を本船上に備え置かなければなりません。

しかしながら、一部のガス運搬船のメンバーが、港湾当局によるCLC条約の証書要求に応じることを根拠として、Blue Cardの発行を国際P&Iグループ加盟クラブに求め、実際に一部のクラブがこの要請に応じてきた模様です。

厳密に言えば、ガス運搬船(LNG船、LPG船を問わず)は、下記(i)、(ii)を理由に、CLC条約に規定される“船舶”の定義(注)には該当しないため、Blue Cardは必要とせず、その発行も必要ありません。

(i)LNG船は、持続性油を貨物として輸送するよう建造されておらず、また実際に当該油を貨物として輸送しないこと
(ii)新型のLPG船は、持続性油を貨物として輸送するよう建造されておらず、また実際に当該油を貨物として輸送しないこと

注:CLC条約第1条第1項
「船舶とは、ばら積みの油を貨物として輸送するために建造され又は改造された海上航行船舶及び海上用舟艇(種類のいかんを問わない。)をいう。ただし、油及び他の貨物を輸送することができる船舶については、ばら積みの油を貨物として現に輸送しているとき及びその輸送の後の航海中(その輸送による残留物が船舶内にないことが証明された場合を除く。)においてのみ、船舶とみなす。」

ただし、一部旧型のLPG船は、ばら積みの持続性油を貨物として輸送するために建造または改造されており、CLC条約上の“船舶”の定義に該当することとなり、実際に持続性油を貨物として輸送することがなくとも、CLC証書を備え置くことを求められる可能性があります。このような場合、当該船舶の船舶所有者はBlue Card発行をクラブに要求する資格を有します。

従いまして、上記の旧型LPG船以外のガス運搬船に対するBlue Card発行は、CLC条約の規定に合致しないため、その発行実務を直ちに取り止めることと致しますので、ご了承願います。

なお、ガス運搬船にBlue Cardを要請している条約締約国の関係当局に対しましては、国際P&IグループよりCLC条約上の証書要求について正しい理解を得られるよう連絡致しておりますこと併せてご報告申し上げます。