ニュース

OPA90改正−責任制限額の引き上げについて

2006/07/19 第06-004号
  • 外航
2006年7月11日、新法“The Coast Guard and Maritime Transportation Act of 2006”が米国大統領の署名を得て成立し、即日施行となりましたのでご案内申し上げます。

同法には米国における油濁事故に係る責任制限額を大幅に引き上げる規定が含まれており、シングルハルタンカーとダブルハルタンカーを差別化したうえで、Section 1004(a)(1)と(2)に定められる1990年米国油濁法(OPA90)の責任制限額が以下のとおり引き上げられました。

<OPA90責任制限額新旧比較表>
a)3,000トン超のタンカー:
1総トン当りUS$1,200、又はUS$1,000万のいずれか大きい額
b)3,000トン以下のタンカー:
1総トン当りUS$1,200、又はUS$200万のいずれか大きい額
c)その他の船舶:
1総トン当りUS$600、又はUS$50万のいずれか大きい額
a)3,000トン超のタンカー:
・シングルハル(*)
1総トン当りUS$3,000、又はUS$2,200万のいずれか大きい額
・ダブルハル
1総トン当りUS$1,900、又はUS$1,600万のいずれか大きい額
b)3,000トン以下のタンカー:
・シングルハル(*)
1総トン当りUS$3,000、又はUS$600万のいずれか大きい額
・ダブルハル
1総トン当りUS$1,900、又はUS$400万のいずれか大きい額
c)その他の船舶:
1総トン当りUS$950、又はUS$80万のいずれか大きい額
(*)ダブルサイド若しくはダブルボトムのいずれか一方のみを装備したタンカーを含む。



そもそもOPA90には、消費者物価指数(CPI)の上昇を反映させるために大統領が少なくとも3年毎に責任限度額の調整を実施することを定める条項(注)が存在していますが、今回の改正に至るまで一度も調整は行なわれていませんでした。
(注)同条項は改正後のOPA90にも規定されています。

タンカーの油濁事故に関しましては、本法施行後90日間は旧責任制限額が適用されますが、その他の船舶については、即日新責任制限額が適用されます。賠償資力証明書(COFR)に関する施行規則はUSCGより未だ発表されていませんが、情報を入手しだいご連絡申し上げます。