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パナマ運河当局による油濁事故対応計画書(PCSOPEP)要求の件

2004/11/25 第04-009号
  • 外航

2003年11月18日付Japan P&I News 489号及び2004年6月11日付同500号をご参照願います。

2003年8月、パナマ運河当局(ACP)はAdvisory A-28-2003号を発行し、貨物又は燃料油として400トン以上の油を積載可能なパナマ運河通航船舶は、運河通航前にパナマ運河船舶油濁事故緊急対応計画書(PCSOPEP)につき承認を得るべくACPへ提出することが必要となる旨発表しました。

その後各業界団体から寄せられた意見等を踏まえ、PCSOPEPに関する要求事項は、当初発表された内容から数回に亘り変更されました。変更点としては、Advisory A-25-2004号に記載のとおり、ACPがパナマ運河内での唯一の油濁清掃業者(OSRO)としてその任にあたり、その資金は関係船舶の運河通航料によって賄われることが挙げられます。さらに、当初のQualified Individual(QI)指定要求はAuthorized Person(AP)指定要求に代わり、APはパナマ在住でスペイン語または英語が堪能で、かつ事故発生時に油濁事故対応及び清掃作業に関してACPの要求を満たす保証提供についてACPと連絡を取る責任者であることが求められます。上記運河通航料については、その後発表されたAdvisory A-50-2004号をご参照願います。

本PCSOPEP要求は2005年1月1日より実施されますので、組合員各位におかれては下記の3点につきご留意願います。


  1. PCSOPEP作成について

  • 該当船舶の船主は、内容審査と承認を得るためにPCSOPEPACPへ提出しなければなりません。ACPPCSOPEP審査費用は無料です。
  • 国際海運会議所(ICS)は、ACPの承認を得るためPCSOPEP用の対応計画書補足モデルを提出する用意がある旨表明しており、もしこれが承認されれば、組合員各位が社内で対応計画書を作成する際の一助になるものと思われます。ICSはモデルプランが完成次第、同メンバーに案内するとのことです。
  • 米国油濁事故対応業者及び現地企業の数社が、計画書の作成・維持管理、並びに下記に記載のAPに関するサービスの提供を現在申し出ています。

  1. Authorized Person(AP)

  • ACPは、最新のAdvisory A-52-2004号の中で、APの役割に関する追加ガイダンスを発表し、「APACP、本船及び船主間の連絡役として、油流出後の清掃作業及び事故対応の費用に関し、ACPが満足できる保証を円滑に提供できるよう行動すべきである」と述べています。
  • さらにACPは、本船代理店がAPの役割を果たすことができることを明らかにしています。
  • 他の方法として、幾つかの米国及び現地企業がAPとしての任務を提供するサービスを申し出ています。組合員各位は、APを選任するにあたり、通常の船舶代理店を任命するのか、若しくは専門の業者を手配するのか決定する必要があります。組合員各位が専門業者を任命し、契約を締結する必要がある場合、その契約内容が国際P&Iグループのガイドラインに沿っているか、当組合契約窓口までご確認いただくことをお勧めいたします。

  1. 保証の要求

  • 上述のとおり、ACPは最新のAdvisory A522004号にて、「油流出の際、その結果として生ずるであろう費用に対し、ACPが満足できる保証が提供されなければならない」としています。国際P&IグループはACPに対して、「保証提供要求を満たすものとして、油濁保険カバーに関する金額を明示しているクラブの保険契約承諾証(Certificate of Entry)を受け入れるべき」との申し入れを行いました。これに応えACPは、保証に関する要求を撤回する意思はないものの、当該要求はP&Iクラブの保証状(Letter ofUndertaking)によって満たすことができるとの考えを示しました。タンカーの油濁事故の場合、クラブはBlue Card(保障契約証明書)の発行を通じてCLC証書というかたちで既に保証は提供済みであるとの立場を堅持するつもりです。

 

PCSOPEPに関するACPが発行した各Advisoryは、下記ウェブサイトにて閲覧頂けます。
http://www.pancanal.com/common/maritime/advisories/