「バンカー条約」について
2001/07/23 第01-003号
- 外航
2001年3月19日から23日の間に開催された国際海事機関(IMO)の外交会議においてバンカー条約(燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約)が採択されました。 バンカー条約とは、タンカー以外の船舶の燃料油流出による油濁事故が増加している状況の下、被害者に対する賠償を確実にする目的で、CLC条約を範として1995年からIMO法律委員会において検討されてきた条約です。その内容は、船舶の燃料油流出事故の補償につき規定したもので、船主の厳格責任と責任制限権、登録船主の付保義務、被害者の保険者への直接請求権などの点において、CLC条約に似た構造になっています。ただし、本条約は、既存の条約・法律に基づく船主の責任制限権に影響を与えるものではありません。なお、目下、本条約の発効の目処は立っておりません。
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1、 | 船主(第1条第3項) | ||
船主には、登録船主、裸傭船者、船舶管理人、運航者を含みます。 | |||
2、 | 汚染損害(第1条第9項) | ||
次のような損害が対象になります。 | |||
(a) | 船舶からの燃料油の流出又は排出による汚染によって生じた損失又は損害。 | ||
ただし環境損害の賠償は回復のための合理的措置の費用に限る。 | |||
(b) | 防止措置費用及び防止措置によって生ずる損失又は損害。 |
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3、 | 適用範囲(第2条) | ||
締約国の領海を含む領域及び経済水域において生ずる油濁損害についてのみ適用されます。 |
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4、 | 船主の責任(第3条) | ||
損害が戦争等特殊事由により生じたこと、若しくは専ら第三者又は政府機関等に帰責事由があることを船主が証明した場合を除き、船主は燃料油油濁事故につき厳格責任を負います。 |
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5、 | 適用除外(4条) | ||
CLC対象船舶の事故には適用されません。軍艦・政府所有船等の事故にも原則として適用されません。 |
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6、 | 二隻以上の船舶による事故(第5条) | ||
分別不能の損害について、関与する船主は連帯してかつ単独でも責めを負います。 |
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7、 | 責任の制限(第6条) | ||
1976年の海事債権条約(76LLMC)等適用される船主責任制限法規に基づく船主の責任制限の権利は、本条約の影響を受けません。 |
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8、 | 強制保険又は金銭的保証(第7条) | ||
1,000総トンを超える船舶の登録船主は、適用される船主責任制限法規における責任制限額相当の賠償責任保険を維持しなければなりません。ただし、同責任制限額は76LLMCの額を上回るものではありません。 締約国は、その登録船舶につき、前記保険を具備していることの証明書を交付しなければなりません。 汚染損害の賠償請求は、保険者に対し直接行うことができます。 領海(日本の場合は沿岸から12海里以内)のみを航行する船舶に対する強制保険については、各締約国は任意に適用除外とすることができます。 |
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9、 | 除斥期間(第8条) | ||
損害発生後3年以内に裁判上の請求を行わない場合には、請求権は消滅し、損害の原因となる事故発生後6年を経過した場合には、請求は認められません。 |
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10 | 発効(第14条) | ||
100万総トン以上の登録船を持つ5カ国を含む18カ国以上が批准した日から1年後に発効します。 | |||
(添付)バンカー条約と92CLCの比較 |