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Kawasaki Kisen Kaisha, Ltd. v Regal-Beloit Corporation (US Supreme Court 2010年6月21日)

2010/08/06 No.586
  • 外航
《事実関係及び争点》
本船は中国・日本の諸港でコンテナ貨物を積載し、米国Long Beachに到着した。 同港で列車にコンテナが積み替えられChicagoに向かったところ、オクラホマ州Tyrone近くで列車が脱線事故を起こし、コンテナ貨物が損傷した。 受荷主は、通しB/L発行者である船会社と鉄道会社を相手に米国カリフォルニア州地裁に民事訴訟を提起した。 第一審では通しB/L上の裁判管轄条項、ヒマラヤ条項(下請運送人の責任制限を規定)を有効とし、米国内での陸上運送区間中の事故であってもUS COGSA(米国の国際海上物品運送法)による責任制限が認められると判示した。 しかし第二審の第九巡回区控訴裁判所では、これらの条項を無効とし、陸上運送区間にはCarmack修正法(運送人に厳格責任を負わせる法律)が適用されると判示した ため、船会社及び鉄道会社は本件を最高裁に上告した。

《判決》
最高裁は、上記控訴審判決を覆し、裁判管轄条項、ヒマラヤ条項の有効性を認めるとともに、米国外から米国内陸向けの国際複合貨物運送における通しB/Lにつき、米国内の陸上運送区間中の事故であっても、運送人にUS COGSAによる責任制限が認められると判示した。

《JPIコメント》
最高裁判決では、米国内陸地を起点とした国際複合輸送での運送人の責任について言及がなく、依然として疑問点が残るものの、貨物損害が米国内での陸上運送中に発生した場合であっても、米国外から米国内陸向けの国際複合輸送における通しB/L上の運送人の責任につきUS COGSAの適用を認容したことは非常に画期的と思われます。

本件につき、米国Long Beachの法律事務所Cogwell Nakazawa & Chang LLPよりコメントを受領致しましたので、ご参考に供します。 組合員の皆様のお役に立てて頂ければ幸いです。 

添付: 米国 Long Beach 法律事務所よりのコメント (英文)