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"SALDANHA" COSCO Bulk Carrier Co., Ltd v Team-Up Owning Co. Ltd (London Commercial Court 2010年6月11日)

2010/06/29 No.583
  • 外航

《事実関係及び争点》
本船は2009年2月22日、Gulf of Aden、UKMTO transit corridorを航行中にソマリアの海賊の襲撃を受け、Eylで同年4月25日に開放されるまで拘束された。本船が予定の航路に戻り、航海を再開できたのは5月2日のことであった。当時船主は傭船者と定期傭船契約(NYPE46書式)を結んでおり、傭船者は海賊により拘束された期間は『Off-hire』であると主張したが、2009年9月8日傭船者の主張を退ける仲裁の裁定が下された。傭船者はこれを不服とし、London Commercial Courtへ提訴、第一審では本船の海賊による襲撃及び拘束期間はNYPE46 Clause15(オフハイヤー条項)に該当するかどうかが争点となった。

《判決》
第一審は仲裁裁定どおり、今回の海賊の襲撃により離路/拘束され喪失した期間は定期傭船契約(NYPE46書式)Clause15の規定に該当せず、『Off-hireとはならない』との判決を下した。

《JPIコメント》
Clause15において、海賊による襲撃及び拘束は"average accident to ship(海損事故)"や海賊に対する十分な防御策を講じなかったとして"default of men(船員の怠慢)"には該当しないという指針が示されました。今後、傭船者が控訴するかどうかが注目されます。

本件につき、英国の法律事務所Ince & Co.、Hill Dickinsonより解説及びコメントを受領致しましたので、ご参考に供します。組合員の皆様のお役に立てて頂ければ幸いです。