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"THE ACHILLEAS" Transfield Shipping Inc v Mercator Shipping Inc (英国House of Lords 2008年7月9日判決)

2008/08/08 No.555
  • 外航
《本件の事実関係や第2審の判決につきましては、2007年5月28日発行のJAPAN P&I NEWSNo.544をご参照ください。》

<争点>
船主は、返船が遅れることにより次の傭船契約の開始に影響が出ることを傭船者は認識していたものとして、以下の金額を補償するよう要求した:
(次航海の傭船料のうち、返船が遅れたため引き下げられた$8,000×傭船期間)=$1,364,584.37

傭船者は、返船が遅れた分の補償額は、遅れた日数分の傭船料とマーケット・レートとの差額であるとして以下の金額を主張した:
(返船が遅れた9日分の傭船料とマーケット・レートとの差額)=$158,301.17

<判決>
契約締結時には、9日間の返船遅延が$1.3mもの損失をもたらすことは船主にも傭船者にも予見不可能であり、また次の傭船に関する責任を傭船者が負うという取り決めは なかったとして、仲裁・第1審・第2審の判決を覆し、全員一致で傭船者の主張を認める判決を下した。

<JPIコメント>
トラブルの絶えない同様のケースの方向性が、この判決により明確になっていくものと思われます。本件のような争いを回避するためには、契約締結時に文言によりリスクの所在を明確にしておく必要があると思われます。

本件につき、英国の法律事務所Clyde & Co 、Hill Dickinson、及びReed Smithより解説及びコメントを受領致しましたのでご参考に供します。なお、判決の全文は当組合HPに掲載しております。組合員の皆様のお役に立てて頂ければ幸いです。