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比国船員クレーム判例紹介

2005/10/31 No.526
  • 外航
(フィリピンのコレポンDel Rosario & Del Rosarioからの情報より)

比国での船員クレームに関し、「[1]最高裁は既往症を隠した船員の後遺障害手当を否認した」及び「[2]控訴審はPOEA契約の任意仲裁条項を支持した」の判例2件をご案内申し上げます。コレスポンデンツよりの情報原文に、当組合による要約を添付しご参考に供します。


<要 約>


[1] 最高裁は既往症を隠した船員の後遺障害手当を否認した

1996年7月に高血圧症、冠状動脈/心臓疾患と診断され、1997年9月にその疾患に関し、雇用期間中に発症したとして後遺障害手当を受け取った船員が、1998年2月に別の船主に雇用される際、乗船雇用申請書の既往症記載欄に病歴なしと申告し、乗船中、高血圧のため1999年1月下船した。
船員側は後遺障害手当の支払を求めたが、不実の申請をしたとして、最高裁は船員側の主張を退けた。


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[2] 控訴審はPOEA契約の任意仲裁条項を支持した

2003年12月に後遺障害手当の支払いを求め労働仲裁人に申立てた船員に対し、船主側はCollectiveBargaining Agreement(CBA−団体労働協約)の組合員である船員との紛争はPOEA標準雇用契約の第29章に基づきNational Conciliation and Mediation Board (国家調停仲裁委員会)の 任意仲裁で処理されるべきと主張し、この主張は一旦労働仲裁人によって否認されたが、労働関係委員会(NLRC)は一転船主側主張を支持し、控訴審でも船主側主張が支持された。