口蹄病に関する豪州検疫当局の対応
- 外航
「英国及び欧州で発生した口蹄病(Foot & Mouth Disease)に関連して、2隻の船舶が豪州の検疫当局ともめた件につき、我々は多くの問合せを受けている。豪州検疫当局(AQIS:Australian QuarantineInspection Service)は豪州の農業保護に大変熱心であり、口蹄病汚染物の輸入を恐れるあまりに、一握りの穀物の存在でも全船の揚荷拒否になり得る。AQISは最近の口蹄病恐慌を警戒して、驚くほど用心深くなっている。
影響が出ているのは英国からの輸入貨物だけではなく、アジアから到着した船舶もAQISとのもめごとに巻き込まれている。ご存知のように口蹄病は実際、欧州よりアジア大陸諸国においてより一般的になってきており、流行の源はこちらであるともいわれている。
また影響があるのは肉類貨物ばかりでなく、農産物の残滓が混入しているかもしれないようなあらゆる種類の貨物に及んでいる。我々が扱ったのは鋼材及び機械類だったし、新車の件もあったと聞く。要するに泥や穀物、肉類、飼料のようなものが貨物に付着していれば問題になる可能性があり、特に第一寄港地がBrisbaneの場合がそうである。
我々が経験した最悪のケースでは、韓国の港の雪解けでぬかるんでいたヤードに短期間仮置きしたために、鋼材貨物への泥、穀物、飼料の残滓の付着が指摘された。AQISは詳細な検査の結果、本船前航貨物の大麦の残滓も発見した。大麦も口蹄病の広がりを恐れて輸入禁止されている。
この結果、船主及び傭船者には高額な負担が生じている。まずAQISは方針決定までの数日間、シールして本船上の全ての貨物持込みを禁止した。結局はAQISは、本船上から泥、大麦などの一切を取り除くことを条件に貨物持込みを許可した。これらの除去清掃費用は高いものにつき、さらに貨物の消毒までさせられた。
別件では、AQISが泥の付着を理由に持込みを禁止したため、大型旋盤機械を再輸出せざるを得なかった。我々の依頼人はAQISとの議論の末、止む無くその貨物を一旦ニューカレドニアへ持って行き、本船上で洗浄した後に戻ってきた。その方がAQISと法律上の争いを始めるより安く早く済む結果となった。
各船の船長及び船積サーベイヤーへは、船積み予定の全ての貨物に泥や肉類、穀物類などが一切混入していないことを、最大の注意を払って確認するよう指示すべきと思われる。最悪の混入物は肉類をベースにしたものである。特に問題はバルカー及びRo-Ro船であるが、コンテナ船も危険と考えられる。
現在までのところAQISが目を向けているのはバルカーとRo-Ro船に限られているが、汚れたコンテナーを拒否し始めた場合には、かなりの問題になると考えられる。このため乗組員によるコンテナーの調査も必要であり、甲板上から見て分るような泥は落としておき、また泥の付着したコンテナーは本船では受取らないよう提言したい。
AQISから発表された口蹄病に汚染されていない国のリストを添付する。彼らはそれらの国からの貨物に関しては寛大と思われるが、念のためどこの国からの貨物かには関係なく、豪州に到着する全ての貨物をクリーンにしておくことが望ましい。」
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