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クリミア及びセバストーポリに関するEU制裁について (その2) 2014年7月30日付Council Regulation (EU) No.825/2014

2014/08/12 第14-008号
  • 外航

ロシアによるクリミア及びセバストーポリの編入に対し、EUは2014年6月23日付でRegulation692/2014を発行し、クリミア又はセバストーポリ産物資の輸入及び当該物資の輸入に関連する保険/再保険提供を含む融資/金融支援の提供(直接/間接を問わない)を禁止する貿易制裁を科しました。


さらにEUは2014年7月30日に上記Regulation692/2014を改訂するRegulation825/2014を発行しました。本特別回報は2014年7月16日付特別回報第14-006号の続報です。主要な変更点はArticle 2に更なる禁止事項が加えられたことです。


禁止事項


1. RegulationのArticle2は以下の行為を禁止しています。

    • クリミアもしくはセバストーポリ産の物資をEUへ輸入すること。
    • 直接/間接を問わず、クリミア又はセバストーポリ産物資の輸入に関連する保険/再保険を含む融資/金融支援を提供すること。
    • 輸送、通信、エネルギー分野におけるインフラ整備のための特定主要設備及び技術[1]を販売、提供、輸送すること。
    • 石油、ガス、鉱物資源[2]の採掘[3]のための主要設備及び技術を販売、提供、輸送すること。
    • 上記活動に関連する技術及び金融支援を提供すること。
    • クリミア又はセバストーポリ内の自然人、法人、団体に対して、もしくはクリミア又はセバストーポリでの利用を目的として、Annex IIIにリストされた主要設備及び技術を直接/間接を問わず販売、輸送、輸出すること。

2. 2014年7月30日までに締結された契約(付随契約を含む)は、2014年10月28日までに実施する必要があります。

3. 「物質」とは、クリミア又はセバストーポリで完全に生産された(wholly obtained)か、同地で実質的に最終製造された(undergotheir last substantial transformation)ものと定義されています。

除外規定

4. 2014年6月23日付Regulation692/2014のArticle 3は、2014年6月25日までに締結された契約、もしくはその実行のために必要な付随契約で、2014年9月26日までに実施されるものについては制裁適用除外としています。但し、当該契約を実施しようとする者は、遅くとも実施の10日以上前にEU各国当局に事前通知を提出することが必要になります。また、Regulation (EU) No 978/2012、Regulation (EU)No.374/2014、EU/ウクライナ間協定に従って、産出証明が発行されていて「特恵関税」の対象となりウクライナ当局が利用可能なクリミアもしくはセバストーポリ産物資も制裁適用除外とされています。

5. 2014年6月23日付Regulation692/2014のArticle 6では、規則で禁止される契約/取引に関するクレームの支払いについて、Regulation269/2014にリストされた制裁対象者/団体や、当局がRegulation 692/2014に規定する禁止事項に違反していると見做した者/団体に支払われる場合、もしくはクレームがクリミア又はセバストーポリ原産物資の輸入に関するものである場合、当該クレームの支払いを禁止しています。

適用範囲

6. 2014年6月23日付Regulation692/2014のArticle 10は、適用範囲を以下の通り規定しています。

    • EU領域内
    • EU加盟国の管轄下にある船舶上
    • 所在地を問わずEU加盟国の全国民
    • EU加盟国法下で設立されたEU内外に所在する法人
    • EU内でのビジネス

7. EU加盟国を旗国とする船舶やEU関係者が関与する船舶が禁止された貿易取引を行うことは違法となります。さらに、EUの管轄下にあるクラブは禁止される貿易活動に従事する船舶に対して船籍や国籍を問わず保険提供が出来ません。また、禁止活動に対する制裁は、禁止活動及びその保険がEUに関係する限り、非EU管轄下の組合員やクラブにも適用されます。IG加盟全クラブの保険契約規定は、制裁を理由として保険提供が違法となる活動や取引に関して保険カバーを除外する規定を設けています。

8. Regulationは2014年7月31日に発効しました。


国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回報を発行しています。



[1]特定物資のリストはRegulationのAnnex IIIを参照のこと。

[2] 鉱物資源のリストはRegulationのAnnex IIを参照のこと。

[3] 「採掘」とは、石油、ガス、鉱物資源の探査、調査、採取、精製、管理を意味し、関連する地質学的サービスの提供を含むが、既存設備の安全確保のためのメンテナンスは含まない。