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国際海事局(IMB) 海賊と武装強盗に関する2023年次報告書

2024/01/15 No.1253
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IMB Piracy Reporting Centre(IMB PRC)から2023年の海賊と武装強盗に関する報告書を受領しましたので、IMBによる要約と共にご案内申し上げます。詳細は添付ファイルをご参照ください。


要約

IMBによれば、2022年の115件に対し、2023年は120件の船舶に対する海賊行為と武装強盗事件が報告されました。船舶への侵入成功率は91%で、105隻が侵入、9隻が襲撃未遂、4隻がハイジャック、2隻が発砲されました。IMBは、人質および誘拐された船員の数が2022年から2023年にかけてそれぞれ4人から73人、2人から14人に増加したことから、船員の安全確保に注意を促しています。2023年にはさらに10人の船員が脅迫され、4人が負傷、1名が暴行を受けました。


下表のとおり、事件の大半は船舶が停泊中、もしくは航行中に報告されています。

Status when Attacked

ATTEMPTED

BOARDED

FIREDUPON

HIJACKED

Grand Total

ANCHORED

5

56

2

63

BERTHED

1

10

11

STEAMING

3

39

4

46

Grand Total

9

105

2

4

120


事件が報告された海域は下表のとおりです。

Region

ATTEMPTED

BOARDED

FIREDUPON

HIJACKED

Grand Total

AFRICA

3

1

4

GULF OF GUINEA

3

14

2

3

22

AMERICAS

4

15

19

EAST ASIA

3

3

INDIAN SUB-CONTINENT

5

5

SE ASIA

2

65

67

Grand Total

9

105

2

4

120



ソマリア沖の海賊

2023年12月、2017年以来となる商船のハイジャック事件が発生し、ソマリア沖の海賊は戻ってきたかが危惧されました。伝統的に母船として使用されてきたダウ船もハイジャックされたとの報告を受けています。これらの事件は、ソマリア海賊の継続的な能力を示すものであり、懸念の種です。IMBは、Best Management Practices (BMP)の最新版に沿った推奨と報告手続きに引き続き従うよう、船長および船主に改めて呼びかけています。


ギニア湾

報告件数は2021年(35件)、2020年(84件)よりは引き続き少ないですが、2022年(19件)からは増加しています。しかし、2023年には世界中で報告されたハイジャック4件のうち3件、船員誘拐14件のうち全件、船員人質のうち75%、そして負傷船員2人がこの海域で発生しています。IMBは船員が継続的に標的となりつつある状況を考慮し、発生件数の減少が見られるとの認識に懸念を抱いています。これらの海域を航行するすべての船舶に対して、推奨されるBMPガイドラインに従い、脅威が迫っている疑いがある場合には直ちに地域の報告センターとIMB PRCに報告するよう促しています。


アジア(シンガポール海峡)

シンガポール海峡での事件は、2022年の38件に対し、2023年は37件と引き続き高水準です。報告された事件の95%で、船舶への侵入が確認されています。8万重量トン以上のばら積み貨物船を中心に16隻が侵入されました。このうち6隻は17万重量トン以上の船でした。主に報告されているのは低レベルの出来心による窃盗ですが、2022年の4人に対して2023年には9人の船員が人質に取られ、さらに2人の船員が人質に取られている最中に脅迫されました。ナイフは15件、銃は3件報告されています。事件の大半は、暗闇の時間帯や船舶の航行中に報告されています。船主とオペレーターは、すべての事件をシンガポールVTISとIMB PRCにタイムリーに報告するよう奨励しています。


アジア(インドネシア)

インドネシアで報告された事件は年々増加していて、2022年の10件に対して2023年は18件です。事件の50%で武器の使用が報告されています。2023年には7人の船員が脅迫され、2人は人質に取られました。


カリブ海、中南米

ペルーのCallaoに停泊していた14隻が侵入されたと報告されています。7人の船員が人質に取られ、1人ずつが暴行と脅迫を受けました。銃やナイフの使用は9件報告されています。