米国によるミャンマー向けジェット燃料に対する制裁
2023年8月23日、OFAC(米国財務省外国資産管理室)は大統領令14014号(以下「大統領令」)を拡大し、ミャンマー経済のジェット燃料部門で活動するすべての外国の個人または法人に制裁を科すことを認める決定をしました。米国当局による大統領令の拡大は、「ミャンマー経済の防衛部門で活動する者への制裁に関する既存の規定を補完するもの」(2023年8月23日付プレスリリースより)です。
OFACはまた、関連する2つのFAQ(よくある質問)を公表しました: FAQ1132 ・ FAQ1133。
この大統領令に従い、米国政府がミャンマー経済のジェット燃料部門で活動している、または大統領令に基づき指定されたSDN(Special Designated Nationals and Blocked Persons)に物質的支援を提供していると判断した非米国人は、制裁を受ける可能性があります。すでにミャンマー軍へのジェット燃料の調達と配給に関わったいくつかの個人と団体がSDNに指定されました。同時にOFACは、この決定が自動的に同部門で活動するすべての人物に制裁を科すものではないことを明言しました。
OFACはさらに、ミャンマー経済のジェット燃料部門には、「直接的または間接的に、ミャンマー国内またはミャンマーに関係するジェット燃料の輸入、輸出、再輸出、販売、供給、輸送に関連する活動」が含まれると説明しました。
OFACは、民間航空に関連する活動(ミャンマーへの/からの航空輸送のための、民間航空会社への/のためのジェット燃料の販売、提供、購入を含む)に従事する者を制裁の対象とする意図はないことを明らかにしていますが、他方でOFACのFAQには「ミャンマーの個人または団体にジェット燃料を供給する者は、ジェット燃料が民間航空における使用のためのみに供給され、軍事政権の使用者に供給されることがないよう、細心の注意を払うべきである」と書かれています。実際には、組合員が輸送するジェット燃料が民間航空のみに使用されるという十分な確証を得ることは不可能であり、よって、米国の法律と関連するFAQに照らすと、ミャンマーへのジェット燃料の輸送は、どのようなものであっても、制裁を理由としてクラブのてん補除外の対象となる可能性が高いです。
組合員におかれましては、英国、EUの制裁および取引制限・資産凍結を科し制裁対象団体・個人のリストを含む米国の制裁についてもご留意ください。
また、保険カバーは、適用される制裁措置に抵触するいかなる取引に対しても適用されないことを再認識し、ミャンマー向け貿易に従事する前に、関係者・貨物・関係する取引について徹底的にデューデリジェンスを尽くすことをお勧めいたします。
国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。
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