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2023保険年度の国際P&Iグループ再保険プログラムについて

2023/01/17 第22-022号

2023保険年度の国際P&Iグループ(IG)再保険プログラムが決定しましたのでご案内申し上げます。

  1. 再保険スキーム
2023保険年度のIG再保険プログラムのスキームは以下のとおりです(2022保険年度から変更はありません)。

  • クラブ保有額:1千万米ドル
  • グループ保有額:1億米ドル
  • General Excess Loss (GXL) Cover:20億米ドル(1億米ドルを超える20億米ドル部分)
  • Collective Overspill Cover:10億米ドル(21億米ドルを超える10億米ドル部分)

  1. てん補限度額
以下の損害に対する2023保険年度のてん補限度額は以下のとおりです(2022保険年度から変更はありません)。

  • 油濁損害:10億米ドル
  • 船客の単体損害:20億米ドル
  • 船客と船員との複合損害:30億米ドル

  1. 悪意のあるサイバー攻撃、新型コロナウイルス、その他の感染症に起因する損害
2022年度の再保険プログラムでは、5.5億米ドルを超える部分について、悪意のあるサイバー攻撃、新型コロナウイルス、その他の感染症に関するてん補の制限がありました。交渉の結果、2023年度はてん補範囲を拡大し、7.5億米ドルまでのクレームについて無制限のてん補を確保することができました。

  • Layer 1(1億米ドルを超える6.5億米ドル部分):てん補制限なし
  • Layer 2および3(7.5億米ドルを超える13.5億米ドル部分):上述の3つのリスクに関し、年間の累積回収限度額(合計13.5億米ドル)を設定


IGでは、年間の累積回収限度額を超える損害について、IGのプール機構でカバーすることに合意しました。したがって、組合員の皆さまへ提供されるカバー自体に変更はありません。


スキームの詳細については、添付の表をご参照ください。


  1. Excess War再保険
ロシア・ウクライナ戦争を受け、IGのExcess War再保険者は、ロシア・ウクライナ周辺の海域を航行する船舶に関し地域的なてん補除外(除外地域は、再保険者が戦争P&I保険に既に適用しているものと同一)を設けることを要求しています。IGは、影響を受ける船舶のために一定の金額までの保険カバーを確保できないか交渉しています。しかし、手配可能な保険カバーの限度額は、一般的なExcess War再保険の上限である1隻あたり5億米ドルよりもかなり低い金額になる可能性が高いと見込まれます。このカバーの詳細については、追ってお知らせいたします。

  1. 船種別IG再保険料率
IGにおける検討の結果、現在の5つの船種カテゴリーを変更する必要はないものの、過去のクレーム実績を考慮して再保険料率を調整すべきであるとの結論に達しました。

2023保険年度の船種別IG再保険料率は以下のとおりとなります。

船種カテゴリー

2023保険年度

再保険料率(US$/GT)

対前年比増減(US$/GT)

対前年比増減率(%)

Persistent Oil Tankers

0.6663

+0.0194

+3.0

Clean Tankers

0.4051

+0.0385

+10.5

Dry Cargo Vessels

0.5991

+0.0352

+6.2

Fully Cellular Containerships

0.7277

+0.0691

+10.5

Passenger Vessels

3.8677

+0.0

+0.0

※Excess War再保険およびMLC再保険に対する再保険料を含みます。

  1. 更改経緯
これまでのところ、2022保険年度のプールクレームの状況は穏やかなものとなっています。しかしながら、過年度のクレームの状況の悪化に加え、ハリケーン「イアン」やロシア・ウクライナ戦争により、再保険市場は大きな影響を受けることとなり、2023保険年度の更改市況は厳しいものとなりました。そのような状況下ではありましたが、2023保険年度の再保険プログラムにおける再保険料率の引き上げは最小限に留めることができました。


バミューダ拠点のIGの自家保険会社であるHydraが、引き続き再保険スキームの一部を保有することにより、IGを支えていきます。またPrivate Placement(複数年契約定額再保険)を活用することにより、特にハリケーンやロシア・ウクライナ問題、再保険市場がカバーを提供する範囲の見直し等の影響により再保険市場が不安定な年であっても、組合員の皆さまにご負担いただく再保険料への影響を軽減しています。


詳細につきましては、IGによるプレスリリースをご覧ください。