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国際海事局(IMB)2022年1月~9月期の海賊と武装強盗報告書について

2022/12/26 No.1202
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先日国際海事局(IMB)から20221月~9月期のIMB海賊・武装強盗報告書の提供を受けましたので以下IMBによる要約と共にご案内申し上げます。

 

IMBによれば、20221月~9月までの間に、90隻の船舶で海賊と武装強盗による事件が発生したことを報告しました。内訳は侵入85隻、襲撃未遂4隻、ハイジャック1隻でした。

 

この90件の攻撃で38人の乗組員が直接被害を受け、27人が人質に、6人が暴行を受け、5人が脅迫されました。

 

また、以下のとおり襲撃を受けた事件の大半は、船舶が錨泊・停泊中に報告されたものです。

Status when Attacked

ATTEMPTED

BOARDED

HIJACKED

Grand Total

ANCHORED

3

37

40

BERTHED

1

12

13

STEAMING

36

1

37

Grand Total

4

85

1

90

 

事件が報告された海域

Region

ATTEMPTED

BOARDED

HIJACKED

Grand Total

AFRICA

1

2

3

(Gulf of Guinea)

1

11

1

13

AMERICA

1

17

18

INDIAN SUB-CONT

8

8

SE ASIA

1

47

48

Grand Total

4

85

1

90

 

ギニア湾

ギニア湾で報告された事故は、乗組員の誘拐がゼロとなり、引き続き史上最低水準にあります。船員の安全確保と長期的な地域・国際海運・貿易のためには、沿岸当局の継続的な努力と各国海軍の存在が不可欠であり、IMBは引き続き、すべての船員がこれらの海域で業界のベストプラクティスを守り、すべての事件を可能な限りタイムリーに報告するよう奨励しています。

 

2022年の最初の9か月間で合計13件の事件が報告されており、このうち11件は武装強盗の定義に該当し、2件は海賊と見られています。

 

アジア(シンガポール海峡)

この海域では31件の事件が報告され、過去2年間より増加しました。報告されたすべての事件で、船舶は航行中および暗闇の時間帯に乗り込まれています。これらの事件は低レベルなものですが、侵入者はナイフや銃で武装しており、乗組員は依然として危険にさらされているとの報告を受けています。乗り込まれた船舶は10万重量トン以上から、中には30万重量トン以上の場合もありましたので、世界で最も混雑する水路で事件が発生する危険性が高まっています。

 

バングラデシュ

撤積貨物船とタンカーが、停泊中または錨泊中に被害を受けたと報告されました。沿岸警備隊は迅速に対応し、盗難物を船舶へ返還することができました。船舶は、これらの海域で十分な注意を払い、できるだけ早くIMB Piracy Reporting Centreに事件を報告することが推奨されています。

 

カリブ海、中米、南米

ペルーのCallao停泊地からの報告数は、2021年の最初の9か月間の15件から2022年の同期間には8件に減少しています。さらに、ブラジルのMacapa錨泊地では、830日に、錨泊中の撤積船に乗り込んだ侵入者によって、警備員や当直乗組員6人が暴行を受け、拘束された事件を含めて、5件の事件が報告されています。