中国-船舶からの大気汚染物質排出の監視と管理のガイドライン(中国MSA: 2019年12月発行)
中国のコレスポンデンツHuatai Insurance Agency & Consultant Service Ltdから中国 海事局(MSA)が発行した「船舶からの大気汚染物質排出の監視と管理のガイドライン」を入手しましたので、概要を以下のとおりご案内します。本ガイドラインは、PSCの手順、船上使用燃料油の燃料分析試験、代替措置の検査、罰金、適合燃料油調達不可能報告書(FONAR)等が幅広く盛り込まれた内容となっています。
当該海域を航行する場合には、詳細について現地代理店にご確認されることをお勧めします。
概 要
- 検査対象
中国MSAは、船舶の排気監視やAISシステムなどを通じて、硫黄含有量が基準を超える燃料油の使用が疑われる船舶を事前に選別することができます。
違法排出記録がある船舶、および排気モニタリングを通じて燃料油の硫黄含有量が基準を超えていると疑われる船舶が主要な検査対象となります。
- 手順
IMOが発行しているPSCガイドライン(IMO Resolution A.1119(30)、IMO MEPC 321(74))をご参照ください。最初にMARPOL条約附属書VIに規定された証書・書類・記録や保管サンプル燃料の保管などの管理状況が検査され、疑義が生じた場合、詳細検査として燃料油サンプル分析試験が行われます。
- 船上使用中の燃料分析試験
- 本船使用中の燃料分析は、現場での迅速初期分析試験の結果が基準の10%を超える場合、詳細分析試験が分析機関で行われます。また、本船の出航前に保証状の発行が要求されます。
- 本船使用中の燃料分析試験結果の最終判断は、IMO MEPC.1/Circ.882と同じく下表に従って判断されます。
硫黄分含有率%(m/m重量)の適用上限:V |
分析試験公差:W |
分析試験結果:Z |
||
Z≦V |
V<Z≦W |
Z>W |
||
0.10 |
0.11 |
規則に適合 |
規則に適合 |
規則違反 |
0.50 |
0.53 |
|||
分析結果「Z」は少数第2位にて報告されること |
- 代替措置(スクラバー)の検査
- IMO MEPC.259(68)に基づき、排ガスクリーニングシステムの排気ガス放出の適合性を確認します。
- 船舶が中国の排出規制エリア(ECA)にある時にオープンループ型排気ガスクリーニングシステムの洗浄水をどのように排出したかを確認します。
- 罰金
違反の内容に応じて10,000人民元以上100,000人民元以下の罰金が科されます。
- FONAR
- 適合燃料油が調達できなかった場合、IMO MEPC.320(74)に基づきFONARを作成し、中国の管轄海域に船舶が到着する24時間前までにChina MSAへ提出してください。
- FONARに関し、以下のいずれかの場合、海事当局は検査に重点を置きます。
- 1年以内にFONARを何度も提出する。
- 長期間、適合燃料油の供給能力が不十分な港に寄港する。
- 提出された資料が不完全であり、適合燃料油が調達できないことを示すには不十分である。
- 提出された資料が実際の状況に適合していないか、不正がある。