2018保険年度コンディションサーベイ実施報告
2018保険年度(以下、PY)に実施したコンディションサーベイのまとめを以下のとおりご報告します。
- 目的
当組合では、一定の船齢に達した新規加入船と既加入船に対し、第三者機関によるコンディションサーベイ(以下、CS)を実施しています。
加入船舶の管理及び堪航性を一定水準以上に保つため、国際P&Iグループの指針に従いコンディションサーベイに力を入れています。
- 実施状況
2018PYは、180隻のCSを組合員のご協力により実施いたしました。内訳は次のとおりです。
既加入船のCS:89隻、新規加入船のCS:91隻
既加入船のCS対象は142隻あり、実施率は63%でした。実施できなかった53隻は本船スケジュールや寄港地の都合によるもので、2019PYに繰り越しています。
2019PYは、前年度からの繰り越した53隻を含む145隻(2019年3月20日現在)をCS対象とし、完全実施を目指します。
サーベイはアジアを中心に実施していますが、その他の地域でも可能なので、ご協力をお願いします。
ウルトラソニックを用いたハッチカバー風雨密性テストの様子 |
- 指摘事項の傾向
前年の特別回報第18-007号で紹介した傾向と変わらず、ハッチカバー・コーミング、機関室設備、漏油対策の不備に指摘が集中しています。2017 PYおよび2018PYの指摘事項の傾向をグラフで紹介します。
改善勧告した船舶のうち、CS実施直後に事故を発生する可能性が高い重大な不具合があった13隻についてはDefect Warrantyを付帯し、「てん補制限もありうる」と警告しました。2018PYにDefect Warrantyを付帯した一例を以下に紹介します。
【一般貨物船・撒積貨物船・チップ船】
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【コンテナ船】
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【その他(船種に関係なく)】
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以下の写真は2018PYのCSにおいて、ある船舶で実際にハッチカバーのラバーガスケットの不具合が発見され、その後速やかに修繕が実施された事例です。
CSを通して、本船に保守整備計画があっても、効果的に運用されていない船舶や、不具合箇所の仮修理(ハッチカバーでは、シリコンパテやマリンテープ貼付)だけを実施して放置されている事例が多く見られました。恒久的な修繕を実施し、なぜ整備されなかったのか、どうして不具合や仮修理が放置されたのか、再発防止策を検討していくことが肝要です。
- まとめ
これからサーベイを受検される皆さまは、当組合のコンディションサーベイを組合全体の事故防止だけでなく、第三者の目でチェックすることで本船の現状を客観的に把握する事ができるツール(手段)としても捉えていただき、2019PYでのサーベイ実施にご協力をお願い申し上げます。
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