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スーダンの現状

2016/04/27 No.813
  • 外航

当組合のDubaiのコレスポンデンツより、20164月時点のスーダンの現状を受領いたしましたので、ご参照に供します。組合員の皆様に関係がありそうな部分を要約すれば以下の通りとなります。

 

政治と治安

スーダンは、南スーダンとの国境紛争、内部での部族間の紛争で経済状態は悲惨な状況になっており、さらには米国による制裁、石油価格の下落でさらに厳しい状況となっている。通貨の価値も下落し、市場レートと公定レートの差が広がっている。Port Sudan 自体は、治安上は殆ど問題ないと言われるが、混乱する政治経済を統制しようと、多数の政府の治安機関や貿易管理機関ができてそれらが貿易に介入し、特にスーダンの小麦の貿易に悪い影響を及ぼしている。昨年(2015年)、売買代金を左右する通貨レートの問題で、2隻の船舶が約6か月にわたり錨地に留め置かれた事態も発生している。

 

制裁問題等

スーダンは、国連、EU 及び米国の制裁を受けているが、とりわけ米国制裁が厄介な問題となっている。米国は、米国籍の個人、法人がスーダンといかなる形であれ貿易を行うことを禁止しているし、スーダン関連の取引に米ドル使用を禁止している。多くの銀行は、米国の金融システムから排除されることを恐れて、米ドルを使用するか否かに関わらずスーダン関連の取引には消極的であるという。スーダンの小麦と肥料輸入にかなり関わっているとされる「スーダン農業銀行」や「農民銀行」がともに米国外国資産管理局(OFAC)の制裁対象である特定個人リスト(Specially Designated Persons List)に入っていることから、スーダンとの貿易決済を行う銀行は警戒しているのである。

「スーダン農業銀行」は、恒常的に貨物不足損害クレームを提起し、かたっぱしから本船の差押を行っているという。米国の保険者であれば、差押解除のための担保提供やスーダンで発生したクレームについての船主へのてん補に際し、OFACの許可を取る必要がある。米国以外の保険者の中には米ドル以外の通貨であれば、担保提供や費用の支払はできるというものがいる一方、そうしたことを拒否する保険者もいたり、かなり混乱した状況となっている。