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SOLAS条約-航行中のばら積み液体貨物の混合・製造の禁止:IMO Resolution MSC.325(90)

2014/03/27 第13-028号
  • 外航
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本回報は201411日に発効した新規則についてご案内するものです。

 

IMO Resolution MSC.325(90)は、航行中に新たな物質を製造する目的でばら積み液体貨物を混合することによる船舶及び海洋環境への影響への懸念を解決するべく採択されたものです。当該ResolutionSOLAS条約第6(貨物の運送)に以下の新たな強制規則を設けています。なお、以下のResolution及びガイドラインの和訳は参考であり、原文(英文)と内容の差異がある場合には原文が優先します。

 

6 (貨物の運送)

Part A

総則

4.現行規則5-1の後に以下の新規則5-2を加える。


規則5-2 – 航行中のばら積み液体貨物の混合及び製造の禁止

  1. 航行中のばら積み液体貨物の混合を禁止する。混合とは、新たな物質を製造する目的で船舶のカーゴポンプ及びパイプラインを用いて2種類以上の異なる貨物を内部循環することを言う。但し、当該禁止規定は、船長が本船の安全あるいは海洋環境保護のために貨物の移動を実施することを妨げるものではない。

 

  1. 上記の禁止規定は、海底鉱物資源の探査及び採取を実施するために使用される船舶上で当該目的で用いるための物質の混合には適用されない。

 

  1. 航海中の船舶上での新たな物質の製造を禁止する。製造とは、意図的な行為により船舶上の貨物とその他の物質あるいは貨物とを化学反応させることを言う。

 

  1. 上記の禁止規定は、海底鉱物資源の探査及び採取を実施するために使用される船舶上で当該目的で用いるための物質の製造には適用されない[1]

 

また、石油及びバイオ燃料の混合物の運送に関する2011年のガイドラインは以下の通り規定しています。

 

  1. 石油及びバイオ燃料の船舶上での混合

 

5.1  船舶上での混合とは、2つの物質を混ぜ合わせ1つの物質を製造すること(混合物)を意味し、化学処理を除く混合を言う。当該混合処理は船舶が港湾内にいる間にのみ行うこと。

 

5.2  新たな物質を製造するための航海中の石油及びバイオ燃料の船舶上での混合は、MSC-MEPC.2/Circ.8 – 航海中の船舶上でのMARPOL貨物の混合の禁止-に従い禁止される。

本船上で混合作業を行う場合には、事前に旗国もしくは現地当局に当該作業の可否をご確認下さい。

なお、本件については引き続き関係機関による協議・検討がなされています。以下の点にご注意下さい。

 

    • 「ばら積み貨物」には液化ガスやMARPOLの対象にならない貨物も含まれます。

    • 航海途中の錨泊地での混合は、例えば汚濁に対応する資機材がない場合等には認められない可能性があります。港湾内の錨泊地での混合作業は認められる可能性がありますが、現地当局に確認する必要があります。

    • 当該混合作業を行う船舶は、貨物の品質劣化もしくは数量不足についてクレームを受ける可能性があります。用船者/荷主から明確な指示を取得した上で実施する必要があります。

    • 油貨物の移動はOil Record Bookに記録しておかなければなりません(MARPOL 73/78, Annex I, Regulation 20)

    • 特に米国水域で当該混合作業を行う場合には注意が必要です。疑義がある場合には専門家の助言を求めるべきです。

    • 貨物の混合を禁止する規定は、2種類以上の物質が以前に港湾内で同一の貨物タンクに積載された場合や、貨物の等質性維持や温度管理のために航海中にカーゴタンク内を再循環したり外部の熱交換機を循環する場合には適用されません。

    • 静電気防止剤や染料のような添加物は、貨物の化学成分が変わらなければ本規則の対象になりません。タンク内でこれらを混合するためにポンプが使用されるかもしれませんが、タンクの外に循環することは想定されていません。


[1] オフショア支援船にばら積みされた一定限度量の危険・有害液体貨物の輸送及び取り扱いに関するガイドラインを参照(Resolution A.673(16))