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ウクライナYuzhny港での鉄鉱石精鉱と微粉鉄鉱石の運送について

2013/07/03 第13-005号
  • 外航

ウクライナの Yuzhny 港で船積しようとした鉄鉱石精鉱、微粉鉄鉱石の含水量が IMSBC コード規定の運送許容水分値(Transportable Moisture Limit(TML))を超えていたため積載を拒否された事例について、国際 P&I グループが入手した最近の情報をご提供いたします。

 

積荷サンプルの TML をウクライナ国外で独自に分析した結果、荷主が申告した TML よりも実際はかなり低い値であると判定され、含水量が独自の分析の TML を超過するケースが見つかり、結果として積載した貨物は陸揚げされ荷送人に戻されました。

 

Yuzhny からは多くの鉄鉱石精鉱や微粉鉄鉱石がばら積みで積み出されています。Odessa, Ilyichevsk, Nikolayev といったウクライナの他の港からも同様です。これらの貨物は IMSBCコードのグループ A に分類され、つまり含水量が TML を超える場合、液状化しやすくなります。IMSBC コードは荷送人が船長または船長代理人へ正しいグループ名、TML、含水量といった貨物の重要な情報を記載した申告書を積荷役前に提供するよう規定しています。さらに TML と含水量の数値は検査機関により発行された証明書により裏付けられていることを必要としています。ウクライナでは通常荷送人の申告書は Central Cargo Bureau(CCB)によって発行される証明書によって証されます。

 

国際 P&Iグループや関係産業団体は、今回報告された問題の解決策に向けてウクライナの関係当局と話し合う予定にしています。各地で発行される様々な証明書の検査機関による検査手順についてはあまり知られていないながら、ウクライナ国外で分析された積荷サンプルは常に CCBにより認められた数値より低い TML であることが明らかとなってきました。したがってウクライナの検査機関における機器の水準やトレーニング及び専門知識のレベルが懸念されています。

 

専門家の立会いについて


Yuzhny 港湾局によって新しく導入された新システムにより状況は複雑になっており、サーベイヤーの急な船舶への立会いを制限されることがあります。

 

以前、サーベイヤーは港への出入りのため年間パスを発行されていましたが、この制度は現在廃止され、年間パスも無効となりました。サーベイヤーは港での立会いごとに申請を余儀なくされています。新システムの下では、サーベイの 34 日前に港湾局に申請しなければならず、申請の受付は営業日のみです。緊急時、サーベイヤーの港への立ち入りが認められるかどうかは不明確です。

 

さらに、サーベイヤーが貨物調査、サンプル収集を行う場合、港湾局はサーベイヤーが荷送人またはフォワーダーの同意なしに立ち入ることを禁じています。このことは最近の IMO 回章、MSC.1/Circ.1441 で定められた IMSBC コードの改正草案に抵触しています。この回章はSOLAS 条約締約国は改正草案が発行する前に自主的に実行するよう求めるものです。そのうちの1つは、「荷送人は船の指名した代理人による液状化の可能性のある精鉱や他の貨物の調査、サンプリング、そして検査の目的でのストックパイルへのアクセスを促進すべき」と明示しています。

 

国際P&Iグループと関係産業団体は港湾局とともに状況を解決しようと努力しております。

 

その間、サーベイヤーの起用が必要となるような Yuzhny へ寄港予定の船舶がある組合員はサーベイヤーの港への立ち入り許可が取得できるよう、港湾局に余裕のある事前申告をすることが必要です。

 

鉄鉱石精鉱、微粉鉄鉱石といった液状化しやすい貨物(IMSBC コードのグループ A)に関するものや、サーベイヤーの緊急の立会いが必要となる場合など、Yuzhny 港での積荷役予定の貨物の安全性に懸念がある際には、組合員は当組合へ早急に通知して下さい。

 

なお、国際 P&I グループの全てのクラブが同様の回章を発行しています。